2017 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of undescribed langauges in the eastern Tibetosphere and their geolinguistic research
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17H04774
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
鈴木 博之 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 外来研究員 (10593006)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チベット語 / チベット・ビルマ諸語 / 地理言語学 / フィールドワーク / 言語接触 / 中華人民共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大きく1)現地調査、2)データ整理・解釈、3)成果発表の3種に分かれる。 1)については、研究代表者自身について、フランスにおける言語資料収集、中国四川省理塘県におけるフィールドワークの2点を行い、前者においてチベット自治区Basum(巴松)語の言語データ(約600語)を整理し、後者において24地点につき語彙(最大2000語)・文例(最大200文)を収集した。これには、カムチベット語、アムドチベット語、チョユ語が含まれる。次に、研究協力者3名をそれぞれチベット自治区チャムド市、ベルギー・ブリュッセルに派遣し、チャムド市内に分布域のある未記述言語の計12種類の変種(方言)について、それぞれの社会言語学的情報と語彙資料(最大2000語)を収集した。これらの調査の過程で、チャムド市およびその近隣地区にさらに未記述言語が存在するという情報を得た。 2)については、まず収集した語彙資料の電子化し、検索可能なデータベースとした。同時に、収集したデータの地点をGoogle Mapsを用いて緯度経度情報を取得し、言語地図作成のためのオンラインソフトArcGIS onlineで扱える形式にまとめた。また、チャムド市内の未記述言語のデータについて、語彙形式の比較を行い、チベット系諸言語からの借用語を判別し、抽出できた本来語と考えられる語彙に音韻対応が認められるかについて分析した。その結果、これらは少なくとも3つの言語に分けられ、それぞれをラモ語、ラロン・マ語、タヤ・マ語と名づけた。 3)については、未記述言語の1つラモ語について、国際シナチベット言語学会(北京)で発表を行い、社会言語学および言語分布に重点を置いた論文を執筆し、国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の調査計画に基づき、研究代表者による現地調査のほか、研究協力者による調査派遣も行い、予定に沿ったデータ収集を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従った現地調査方針が有効であることが確かめられた。また、前年度に行った調査から、調査した地域における言語状況についてさらに詳細な調査が必要であることが判明したため、継続して現地調査を実施することで一定の成果が見込まれると判断できる。このため、今年度も同一地域における現地調査を継続する。
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