2019 Fiscal Year Annual Research Report
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17H04787
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 謙介 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (20583793)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再現性 / モデリング / ベイズ統計 / 二次分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,ベイズ統計的アプローチを活用し,心理学における種々の二次データについて,そのデータ生成メカニズムを考慮したモデルの開発,モデリング,そして再分析を行う。再現性の評価において,その中心にモデリングの考え方を位置づけることを通して,心理学研究の理論化を進め,再現性を高めることに貢献することを目指している。 本年度は,第一に,OECD 生徒の学習到達度調査 (PISA) のデータを用いて,2006年版で報告されている探求型教授法の因果効果について,わが国の最新版(2015年)データと因果推論モデルを用いた再現性の再検討を行い,基本的に先行研究を再現する結果を得た。本結果は菱山・岡田(2019)として出版された。第二に,曖昧状況における意思決定課題についての先行研究の実験データを用いて,生成メカニズムを反映する認知モデルを用いた適応的な刺激選択を行った場合の解析を行い,この方法が推定精度を改善することを示した。本結果は藤田・岡田(2019)として出版された。第三に,外向性を測定する先行研究の質問紙データについて,その項目反応だけでなく反応時間も同時に考慮した生成メカニズムの認知モデルを提案し,再分析を行って適切な推定ができ,有用な知見が得られることを見出した。本結果はBunji & Okada (2019)として出版された。第四に,先行研究で実施された分数の計算についての認知診断テストの実データを用いて,離散的な認知アトリビュートを想定した生成モデルの変分ベイズ推定法を提案した。モデルの適合や推定結果の違いの検討から,提案手法が従来法と比肩する推定を小さな計算コストで実現できることを見出した。本結果はYamaguchi & Okada (2020)として出版された。これら以外にも査読付き論文を発表し,また本研究課題に関連する最新の結果や提案を国内外の学会等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に概ね沿った形で研究を進めることができており,本年度はその成果として5件の査読付き論文を発表することができた。現在進行中およびすでに投稿して査読や改稿中の結果も複数あり,これまでのところ順調に研究課題を進めることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のテーマは,心理学にとどまらずさまざまな分野において,引き続き国内外で注目を集めている。時代の要請に応えるため,次年度は事前登録型の研究も計画している。引き続き,論文やプレプリント,学会,研究会等をはじめとする各種情報源,また多くの研究者たちとの交流や議論を通して最新の情報を手に入れ,それを本研究課題にも活かしながら,当初の研究目的が達成できるよう研究を推進していく。
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Research Products
(22 results)