2019 Fiscal Year Annual Research Report
障害児の社会経済特性と教育のインクルージョンに関する国際比較研究
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17H04791
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川口 純 筑波大学, 人間系, 助教 (90733329)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 障害児の社会経済特性 / 教育の包摂性 / インクルーシブ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、教育の「インクルージョン(共生、包摂)」に関する理論化を試みるものである。中でも、如何なる社会経済要因を抱える子どもが包摂され難い(易い)のか、子どもの特性を分析の中核に据え、「障害の種類」、「教育形態」の2つの軸を設けて分析、理論化を試みた。本年度は、マラウイでの調査を中心的に実施した。特に社会経済特性の中でも、障害種別、経済特性、居住地域、男女の4つの特性を軸に分析を実施した。 調査結果の一部を示すと、マラウイにおいては女児の視覚障害児は包摂されやすく、知的障害児は男女ともに包摂され難い事が明らかになった。都市部の女児に関しては、障害のない子どもよりも、女児で視覚障害のある子どもの方が、2倍程度、就学している事が判明した。背景には、都市部においては、財団やNGOなど、多数の援助を受け入れている事も影響しており、“分かりやすい障害”がある児童や“可哀そうに思える児童”は、援助が行き届きやすい、マラウイならではの要因も確認された。本研究結果は、現在、学会誌「国際開発研究」に論文として纏めて投稿している。 一方、タイでは「聴覚障害児はインクルーシブ教育の方が特別教育よりも不就学率を低下させる」という事が明らかになってきた。まだ調査が不十分なため、実証的な論文を書くまでには至らないが、徐々に障害児の社会経済特性」と「教育のインクルージョン」に関する因果関係の一端が明らかになりつつある。 しかしかながら、日本での調査はコロナの影響もあり、予定より遅れている。来年は最終年度に当たるため、何とか遅れを挽回したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により、予定していた学校での調査を一部、翌年度に延期することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度に該当するため、特に、日本とタイでの調査に注力する。また、これまで明らかになってきた「障害児の社会経済特性」と「教育のインクルージョン」に関する因果関係の一端を理論化していく作業を進める。例えば、「マラウイにおいては、視覚障害児は女児の方が男児よりも進学し易い傾向がある」点や「タイでは聴覚障害児はインクルーシブ教育の方が特別教育よりも不就学率を低下させる」等、障害児の社会経済状況と教育形態の関係性の一端を実証的に明らかにしていく計画である。
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