2017 Fiscal Year Annual Research Report
Optical properties of super-widegap semiconductors studied by time and spatially resolved deep-ultraviolet spectroscopy
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17H04810
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 良太 京都大学, 工学研究科, 助教 (60737047)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 深紫外分光 / 近接場分光 / 窒化物半導体 / 超ワイドギャップ半導体 / 励起子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,深紫外領域(波長: 200-300 nm)における時空間スペクトロスコピーの開拓と,それによる超ワイドギャップ半導体の励起子光物性の解明である. 本年度は,深紫外領域における顕微分光測定技術の構築に注力した.励起光源として用いている210 nmの深紫外CWレーザはリング共振器構造を有しており,原理的に振動に弱いといった特徴を有している.また,出力安定化機構が存在しないため光出力が経時的に変化するといった問題も抱えている.そこで本研究では,ビーム位置安定化システムおよびビーム強度安定化システムを光学系に組み込んだ.前者は2つの深紫外位置検出素子(Position Sensitive Detector)と2つのピエゾ・モータ付キネマティックマウントAlミラーを用いることによりビーム光路を安定化させており,後者は深紫外光検出素子(Photo diode)とモータ付自動回転マウント1/2波長板を用いることによりビーム強度を安定化させている.これにより,時空間的に安定した深紫外励起ビームの実現に成功した.次に解決すべき課題は,市販されている深紫外オプティクス(フィルタ・ミラー・レンズ)の性能(反射・透過特性や収差)が可視オプティクスと比べて劣っていることである.本研究では,ダイクロイックミラーやレーザカットフィルタ,および対物レンズ等をメーカと協議することにより特注仕様のオプティクスを作製し,非常に感度の高い深紫外検出系を実現することに成功した.以上のように構築した深紫外顕微分光測定系を用いて,近接場ファイバープローブを用いたフォトルミネッセンス測定を試みたところ,窒化物混晶半導体からの発光スペクトルが得られた.これは,世界最短励起波長で動作する近接場光学顕微鏡の開発に成功したことを意味しており,大幅な研究進捗があったと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は深紫外領域における時空間スペクトロスコピーの開拓とそれによる超ワイドギャップ半導体の光物性解明を目指しており,本年度は深紫外領域における近接場光学顕微鏡の開発に成功した.これは世界最短励起波長を有する深紫外近接場光学顕微鏡であり,世の中にない装置を開発したという意味で,順調に研究が進展していると考えている.現在,この独自に構築した深紫外近接場光学顕微鏡を用いて超ワイドギャップ半導体である窒化アルミニウムガリウムの光物性評価を行っており,これまでにない知見が得られつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により世界最短励起波長を有する近接場光学顕微鏡の開発に成功したが,その空間分解能は200 nmに留まっており,最終目標である空間分解能30 nmを目指して,本顕微鏡の更なるS/N比の改善に取り組む必要がある.また本研究は時空間スペクトロスコピーを目指したものであることから,時間分解分光測定が可能な測定系へと拡張する必要がある.したがって,本研究の今後の推進方策は,世界最短励起波長と世界最高空間分解能を両立すること,および時間分解分光測定機能を付与することである. 前者の世界最高空間分解能を実現するために,分光測定系のS/N比の改善および高スループット深紫外ファイバープローブの開発を今後行う予定である.また,時間分解分光測定機能の付与に向けて,現有しているストリークカメラシステムとの光結合を検討しており,これを実現するために深紫外光透過率の高い中空ファイバおよびフォトニック結晶ファイバの活用を検討している. これらにより,深紫外時空間スペクトロスコピー技術を確立し,ダイヤモンドや窒化アルミニウムガリウムといった超ワイドギャップ半導体に対して本技術を適用することで,その構造と光物性の関係が露になると考えている.
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Research Products
(2 results)