2019 Fiscal Year Annual Research Report
スピン軌道相互作用を利用した3d遷移金属酸化物の磁性制御
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17H04813
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅 大介 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40378881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン軌道相互作用 / 磁気異方性 / 酸化物ヘテロ構造 / 異常ホール効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もヘテロ構造化した遷移金属酸化物に着目して、スピン軌道相互作用が重要となる磁気特性の開発およびその機構解明を推進した。 遍歴強磁性体であるルテニウム酸化物において、その膜厚が数nmとなった際に見られるホール効果の異常について、電界効果を含めた詳細な磁気輸送特性の評価から機構解明を行った[Phys. Rev. B, 101, 014448(2020, Phys. Rev. B, 101, 144405 (2020)]。得られた結果からは、これまで議論されてきたようなトポロジカルホール効果を考慮しなくとも、異常ホール効果および保持力の薄膜中における不均一性を考慮することで全ての振舞いを首尾一貫して説明できることが分かった。提案したホール抵抗の異常な振舞いの解釈は、ルテニウム酸化物だけに限らず全ての物質に適用でき、磁性体の示すホール効果の理解に新しい知見をもたらした。 またスピン軌道相互作用に関連した磁気特性探索の過程で、金属伝導と垂直磁気異方性を同時に示す材料として、コバルトとニッケルを構成元素とするスピネル構造を有するフェリ磁性体を見出した。放射光を用いた共鳴X線回折による構造評価から、薄膜試料中のカチオン組成が作製条件によって制御できること、そして、カチオン組成制御によって垂直磁気異方性を含めた磁気直性をチューニングでき、最適組成において異方性エネルギーは室温で約0.2MJ/m3まで到達することが分かった[Physical Review B 101, 094412 (2020)]。また垂直磁気異方性は、四面体サイトを占有するCoのd軌道由来の軌道磁気モーメントを起源としていることも明らかにした。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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