2017 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオン伝導顕微鏡による生細胞界面のナノスケール物理動態の可視化
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17H04818
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 信嗣 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 助教 (70455864)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオン伝導顕微鏡 / ナノピペット / ナノポア / イオン電流 / 細胞 / 生体膜 / ラフト / 走査プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が独自に開発した新しい走査プローブ顕微鏡技術を駆使して、これまで不可能だった液中の生細胞界面で生じているナノスケールの物理動態の計測に挑む。これにより、生細胞界面の特異な機能の本質を担うと信じられている生体膜ナノ構造や界面分子構造の時空間的なゆらぎの可視化を実現する。更に、異なる様々な種類の細胞に対して、細胞の活性や状態の変化に対する界面のナノ動態の比較を行い、このゆらぎの特徴や普遍性を探求し、細胞界面のナノ空間で生じる物理動態を計測する技術を切り拓くことを目標にしている。2017年度は、走査プローブ顕微鏡の広域走査機構の開発(テーマ1)およびバイアススイッチ信号検出機構の開発(テーマ2)に取組んだ。 テーマ1に関しては、探針走査型高速スキャナと試料ステージの粗動機構(ステッピングモータ)をシームレスに動作させるソフトウエアを開発することを目指した。ソフトウエアはほぼ完成したが、粗動機構のバックラッシュが予想以上に大きく、これを低減しないかぎり、広域走査機構は有効に動作しないことがわかった。これはハードウエアの交換や改良により解決できる見込みである。 テーマ2に関しては、探針走査型高速スキャナの水平方向変位を高速検出するセンサーの作成および、センサーから得られた情報をFPGAにより時間確定的に演算して、ダイナミックにフィードフォワード制御を行うソフトウエアの開発を目指した。センサーとしては、ピエゾ素子に取付けたストレインゲージにより、ピエゾ素子の変位をサブナノメートルで1kHz以上の帯域にて十分な信号雑音比で検出できる回路を作成した。FPGAによるソフトウエア制御が未完成であるが、時間の問題であり、今後の研究計画に支障は生じることはない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とする技術開発を完遂することができなかったが、解決の見通しは得ており、あとは実装するだけなので、時間の問題である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、研究計画の通りに、2017年度に開発した技術を用いて、イオン伝導顕微鏡により生細胞観察を行う。このための細胞培養系は2017年度に構築済である。
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