2018 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオン伝導顕微鏡による生細胞界面のナノスケール物理動態の可視化
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17H04818
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邉 信嗣 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 助教 (70455864)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プローブ顕微鏡 / ナノピペット / ナノポア / 表面電荷 / 生細胞イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が独自に開発した新しい走査プローブ顕微鏡技術を駆使して、これまで不可能だった液中の生細胞界面で生じているナノスケールの物理動態の計測に挑む。これにより、生細胞界面の特異な機能の本質を担うと信じられている生体膜ナノ構造や界面分子構造の時空間的なゆらぎの可視化を実現する。更に、異なる様々な種類の細胞に対して、細胞の活性や状態の変化に対する界面のナノ動態の比較を行い、このゆらぎの特徴や普遍性を探求し、細胞界面のナノ空間で生じる物理動態を計測する技術を切り拓くことを目標にしている。2018年度の実績は下記である。本年度は、2つの研究項目について研究を推進する。 ■ (1-b) 生細胞界面ナノ構造の動態観察(テーマ1) HeLa、Cos7、NRGなどの生細胞に対して、2500px/s程度で安定に細胞表面ナノ構造動態を計測できるようになった。特にHeLa細胞に関しては微絨毛形状動態が明瞭に、長時間可視化できるようになった。このようなナノ構造の動態に、どのような傾向があるのか調べるのが今後の課題となる。 ■ (2-b) 表面電荷密度の高速検出(テーマ 2 ) 当初計画していた、バイアススイッチ法では、本項目の目的を達成することが難しいことがわかった。異なる手法の開発を行う必要がある。いくつかアイディアは持っているので、まずは、そのアイディアを人工脂質膜系の表面電荷検出に適応し、有用性を実証することに取り掛かった。人工脂質膜系をマイカ表面に再現性良く構築できる条件検討を進め、この作業をほぼ終えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた表面電荷の高速検出手法の有効性を検討した結果、当初の計画を変更する必要性が生じた。このため、新しいアイディアに基づき、表面電荷の高速検出手法の開発を進めることにした。ここで開発した手法の有効性を簡易的に確認すべく、人工脂質膜系の開発に取り掛かった。このような当初計画にない作業によって遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、最も重要な目標である生細胞の高速表面電荷検出手法を進めねばならない。人工脂質膜系をマイカ表面に再現性良く構築できる条件検討をほぼ終えたので、次は、この系を用いて、新規に開発した表面電荷の高速検出手法の有効性を実証していく。
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