2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H04820
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
一柳 光平 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (70435618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究計画では、高強度Ndガラスレーザーと放射光施設(Photon Factory Advanced Ring:PF-AR)の100 psの硬X線パルスを駆使して、レーザー集光照射により発生した衝撃波による圧縮過程で特有の固体の弾塑性転移の観測することを目標に研究を推進した。前年度にPF-ARの時間分解X線測定専用ラインにNdガラスレーザーを整備し構築したピコ秒時間分解ラウエ回折測定と時間分解粉末X線回折測定装置により単結晶シリコン(100)の弾塑性過程の観測を行った。実験条件は高強度Ndガラスレーザーで約10万気圧の弾塑性転移点を超えた圧力域で行い、衝撃波伝搬下における単結晶シリコンのラウエ回折像を取得した。ピコ秒時間分解ラウエ回折により衝撃伝搬方向の歪みと、衝撃伝搬に対して垂直方向の構造情報を分離し時間分解測定することに成功した。弾性域では衝撃波伝搬方向に歪んでいるのに対して、衝撃波伝搬と垂直方向は弾性波に対して遅れて進む塑性波に対応して結晶が不均一化していることが確認された。高強度Ndガラスレーザーと放射光のX線パルスを時間・位置について高精度で制御することで、弾塑性転移の構造変化の時間伸展を観測することが可能になった。 また、昨年度からビームラインに整備しているレーザードップラー速度干渉計(Line-VISAR)によりピコ秒時間分解ラウエ回折と同条件でマクロな歪み(圧力)プロフファイルを取得することで、圧力履歴に対する構造変化を議論することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度当初計画において予定していた、単結晶シリコンの時間分解ラウエ回折による衝撃波伝搬方向に対しての衝撃波伝搬方向と衝撃波伝搬と垂直方向に対応する各結晶面の挙動の観測を既に実現している。弾性域では1軸歪みするが、ある時間で応力緩和する挙動が観測できた。またレーザードップラー速度干渉計の整備が整ったことで圧力プロファイルと原子構造の変化を相関させて解析することが可能になっている。固体の衝撃圧縮に存在する弾性-塑性転移におけるメカニズムが明らかになってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
放射光施設(PF-AR)に展開している高強度Ndガラスレーザーと硬X線パルスを組み合わせた時間分解ラウエ回折を用いて実験を行う。衝撃波伝搬のような速い歪み速度場で起こる固体材料の弾塑性転移メカニズムの解明のための実験・研究を実施する。 歪み速度依存性について検討をする。試料表面にギャップを作り衝撃波の立ち上がりを制御した勾配を持つ圧力プロファイル生成技術を構築しする。この手法を時間分解ラウエ回折測定装置に導入し、圧力波の勾配を利用した歪み速度依存性を求める。得られた研究成果を、国内及び国際学会で積極的に発表するとともに、論文としてまとめて国際誌に出版公表する。
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