2017 Fiscal Year Annual Research Report
Random Matrix Theory and applications to Quantum Information Theory
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17H04823
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | random matrix theory / free probability |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はランダム行列の研究の中でも特にランダム置換に関するものに取り組んだ。 具体的にはトゥールーズ第三大学のCharles Bordenaveとの共同研究で独立同分布なランダム置換が強漸近的自由性を持つということを示した。この結果はボルドー大学のCamille Maleと研究代表者の過去の共同研究の一般化であり自然な帰結にも見えるが、一方で、その証明には新しいアイデアが必要であり、operator valued non-backtracking theoryと呼ばれる技術を改良することにより、その証明がようやく可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗は極めて良い。この研究課題に研究代表者のエフォートを最も多く割いており、それに見合った結果が得られていると考えている。Charles Bordenaveとの共同研究で独立同分布なランダム置換が強漸近的自由性を持つということを示した論文については結果をまとめプレプリントを書き、現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、Charles Bordenaveとの共同研究を継続する予定である。前述の平成29年度のCharles Bordenaveとの共同研究の手法には多くの応用があり、これを使って他にも様々な問題が解決できるであろうと見込まれるからである。例えば、ユニタリ行列のテンソル積が強漸近的自由性をもつ、ということを証明することができると我々は予想している。現在、研究代表者はこの問題に取り組んでおり、Weingarten calculusをCharles Bordenaveとの共同研究に適用できるよう改良することが必要であると考えている。
また、平成30年度5月、京都大学でランダム行列に関する大規模な国際会議を開催する。世界中から多数のランダム行列の専門家(100人規模)が一斉に集結する予定である。このランダム行列に関する大規模な国際会議では海外の著名なランダム行列の専門家が講演予定であり、研究代表者や研究連携者、その他の日本人研究者らに最近の重要な結果について研究者から直接情報収集できる機会を与えることとなるだろう。また研究代表者はカリフォルニア大学ロサンゼルス校での大規模な研究会に参加し、研究課題についての研究打ち合わせおよび情報収集を行うことを予定している。また平成31年3月、モントリオール大学数学研究所(CRM)に数週間滞在し、研究代表者が共同開催者の一人である自由確率論に関する1ヶ月のプログラムを開催・参加する。研究代表者はその機会に共同研究らと本研究課題の多くの部分を推進させる予定である。
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