2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ultrahigh sensitivity neutrino-less double beta decay search with a new type of detector with direction information added
Project/Area Number |
17H04834
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上島 考太 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 助教 (80605379)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / 波長変換剤 / 方向検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
極低放射能環境を生かした、液体キセノンを用いたニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊(0ν2β)発見に向けた研究開発を行った。エネルギー付加による不感領域を無くすため、プラスチックシンチレータ容器内に液体キセノンを導入し、0ν2β探索の探索感度を大幅に向上させる。また液体キセノンのシンチレーション光とチェレンコフ光を分離することにより、方向の情報を抽出できるか評価を行う。 本年度は既存のクライオスタットを改良し、液体キセノンを導入できる-100度で安定に運転できるように冷凍機のコールドヘッドと検出器の接続部分を改良した。キセノンのガスライン、純化システムを構築し、液体キセノンを開発したプラスチックシンチレータ容器に導入する準備が整った。また使用したキセノンを回収できる容器の設計製作も行った。クライオスタット内にシンチレーション光検出のための8inch 光電子増倍管(PMT)を取り付け、またチェレンコフ光検出のために時間の良い2inchのマルチアノードPMTを配置するホルダーの設計を行い、クライオスタット内に組み込めるようにした。データ収集については5GHzで波形をサンプリングすることにより効率良くチェレンコフ光とシンチレーション光が分離できるように準備を行った。 また新たにテトラフェニルブタジエンとパラタフェニルをそれぞれ3%溶かし込んだプラスチックシンチレータ容器の開発を行った。透明度も向上したことにより、チェレンコフ光の収集能力の向上につながる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は-100度の液体キセノンをプラスチックシンチレータ容器に導入できるようにクライオスタットの改良、キセノンのガスライン、純化システムの導入、また回収容器の準備等を行った。来年度早々には液体キセノンをプラスチックシンチレータ容器内に導入し、シンチレーション光とチェレンコフ光を分離して検出し、方向検出の評価を行える見込みで、ほぼ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後開発したプラスチックシンチレータ容器に液体キセノンを導入し、シンチレーション光とチェレンコフ光を分離することにより、方向の情報をどの程度抽出できるか評価を行なっていく。新たに高透明なプラスチックシンチレータ容器を開発し、効率良くチェレンコフ光を取得できるように検出器の改良も行なっていく。また開発したプラスチックシンチレータ容器内部に含まれる放射性不純物量についても評価を行なっていく。 通常のニュートリノを放出する2重ベータ崩壊のバックグラウンドを低減するには、良いエネルギー分解能が必須で、0ν2βのシグナル領域でエネルギー分解能がどの程度あるか、評価を行う。
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