2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H04843
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹野 匡紀 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (10515802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核分裂 / 元素合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、直接核反応(p,2p)用いた質量欠損法測定により、重い不安定核に与えた励起エネルギーを測定する。この励起エネルギーの変化として、どの励起エネルギーで核分裂が始まるかを見ることによって、核分裂障壁を導出し、なおかつ、分裂後の核分裂砕片を大立体角SAMURAI磁気スペクトロメーターで測定することにより、核分裂の対称性、非対称性を決定することが目的である。当該年度においては、引き続き、SAMURAIスペクトロメーターを用いた過去のテスト実験データの解析を進めた。粒子同定プロットを作成することが目的であるが、まだ、十分な分解能を持つに至っていない。ただし、大まかには、重い核と軽い核が同時に核分裂で作られている(非対称)であることがわかっている。SAMURAIスペクトロメーターの粒子同定の能力自体は、本来Sn領域までの原子核を十分な分解能で同定できることは核分裂のない別の実験データセットから確認済みである。核分裂のある実験データは、核分裂片の作られる反応点もしくはその直下流の情報が重要であるという事を明らかにした。テスト実験の段階では、(p,2p)反応測定セットアップがなかったため、反応点の情報は精度よく決められていなかったのが原因の一つである。実際意開発された(p,2p)反応セットアップは十分な位置分解能をもっていることは確認済みである。このため、(p,2p)反応セットアップとSAMURAIスペクトロメーターを組み合わせて、質の良く強度の強い一次ビームで較正データを取り直すことを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である不安定核の核分障壁と核分裂後の分裂片生成パターンの決定に関しては、開発された(p,2p)セットアップとSAMURAIスペクトロメーターを組み合わせて、大まかには可能であることを確認できたから。一方で、セットアップ本来の精度を実現するためには、これらを組み合わせた較正実験が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
(p,2p)反応セットアップとSAMURAIスペクトロメーターを組み合わせて、質の良く強度の強い一次ビームで較正データを取り直し、核分裂片核種の同定能力をスペクトロメーター本来のレベルに引き上げることを考えている。このことを確認するために、2020年に較正データをとるテスト実験を行い、2021年に本実験を行えればと考えている。
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