2017 Fiscal Year Annual Research Report
Label-free superresolution microscopy
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17H04852
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井手口 拓郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 講師 (30735999)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コヒーレントラマン顕微鏡 / フーリエ変換分光 / 赤外フォトサーマル顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の生体分子の詳細を計測するためには、高い空間分解能による観察が要請される。現在利用されている超解像顕微鏡は蛍光計測に依っているが、蛍光プローブを利用する手法は、細胞毒性、褪色など、生命科学研究のツールとして無視のできない欠点があり、適用できる場面が限られている。一方で、分子振動を観測する振動分光(赤外分光、ラマン分光)は蛍光プローブを用いないラベルフリーの技術であり、蛍光計測の欠点を補う手法である。しかしながら、長波長の光を用いる赤外分光顕微鏡は原理上空間分解能が低く、また、ラマン分光顕微鏡は感度が低く計測時間が長いという欠点がある。本研究では、これらの問題点に焦点を当て、空間分解能の高い赤外顕微鏡と高速かつ高分解能のラマン顕微鏡を開発する。 赤外光の開設限界を超える超解像の赤外顕微鏡として、赤外フォトサーマル顕微鏡の新しい手法の提案とその実証実験を開始した。また、広帯域の赤外分光手法として知られるフーリエ変換分光法の計測速度を高速スキャン干渉計を用いて高速化する研究を行い、近赤外領域での原理検証に成功した。 10fsのパルス幅を持つ超短パルスレーザーを用いた広帯域かつ高速のコヒーレントラマン分光の原理検証を行い、3000cm-1を超える広帯域のラマンスペクトルを10kHz以上の計測レートで取得する手法を開発した。また、開発した手法を用いた高速広帯域コヒーレントラマン分光顕微鏡の開発に着手した。また、超解像ラマン顕微鏡の実現に向けチップ増強ラマン散乱の原理を利用した高速広帯域コヒーレントラマン分光顕微鏡の開発計画を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振動分光法の新しい手法の研究を複数開始し、超解像特性の原理検証の下地となる開発が進んだため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
赤外フォトサーマル顕微鏡に関してはマイクロビーズを用いた原理検証実験を行い、赤外吸収分光の分子特異性を可視光の空間分解能で実現できるかどうかを判断する。また、HeLa細胞などの培養細胞を用いて、生体試料への適用の可否を判断する。 高速広帯域フーリエ変換分光法に関しては、中赤外領域での広帯域パルスレーザー光源を開発し、分光法の原理検証実験を行う。 高速広帯域コヒーレントラマン分光顕微鏡に関しては、レーザースキャン型の顕微鏡を完成させる。また、スキャニングプローブ顕微鏡の仕組みを取り入れたチップ増強コヒーレントラマン分光顕微鏡の製作に取り掛かり、原理検証実験を行う。
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