2019 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー地形の階層性に注目したガラスの理解と分類に関する研究
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17H04853
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 昌司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00731556)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ガラスの物理 / 化学物理 / 統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガラス転移の平均場理論が大きく進展し、ガラス研究の焦点は有限次元のガラスの理解に移りつつある。本研究はこの流れを先導して、多彩なガラス相(ポリアモルフィズム)の分類・理解と、ガラスにおける「欠陥」に注目して、エネルギー地形の観点から研究するものである。今年度の成果は以下の通りである。 (1)多彩なガラス相:二つのモノマー粒子からなるダイマー粒子からなるガラス相について、その振動物性を詳しく調べた。特にジャミング転移近傍でのスケーリング則に注目して研究を行った。まず球状粒子と異なる点として、ダイマー間のコンタクトが片方に集中する場合があり、ジャミング転移の臨界性を解析するには、その場合を別途取り扱う必要があることを見出した。さらにダイマーガラスの場合、低周波振動は回転的な性質を持ち、そのような振動がジャミング転移近傍で臨界的なベキ則に従うことを見出した。これらは、異方的な相互作用を持つガラスの理解の基盤となる成果である。 (2)ガラスの欠陥:昨年度までに、ガラスの欠陥に付随する局在化した柔らかい振動モードの存在とその統計則、その相関長の理解、ボソンピークとの関係の理解などに成功している。今年度は、この局在化したモードを励起した際の系の挙動を詳しく解析した。その結果、これらの振動モードは強い非調和性をもち、強く励起した場合、粒子の配置が不連続に変化することを明らかにした。この粒子の再配置は常に空間的に局在化して起こることが分かった。 (3) バクテリア中の細胞質のガラス化:本研究課題と関連して、細胞質(細胞内の濃厚タンパク質溶液)のガラス化を研究した。この系では、タンパク質は単なる熱揺らぎを受ける粒子ではなく、ATPを消費して形を変えつつ運動する粒子である。この効果を取り込んだもっとも単純な模型を構築し、そのガラス化を数値的に研究したところ、実験と整合する結果を得た。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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