2019 Fiscal Year Annual Research Report
キラル敏感な新規時間分解分光法の開発による分子キラリティーのダイナミクスの解明
Project/Area Number |
17H04865
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥野 将成 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00719065)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | キラリティー / 非線形分光 / ハイパーラマン分光 / 振動分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、異動に伴い装置を新規に構築することから研究を行った。さらに、用いることのできる装置について変化があったため、新たな非線形分光法としてハイパーラマン分光法に着目した研究を行った。新たに1064 nmおよび532 nmのピコ秒パルスレーザーによって、ハイパーラマンスペクトルを測定可能な装置を構築した。これまでハイパーラマンスペクトルの測定には、ハイパーラマン信号が非常に微弱なため、非常に長時間を必要とし、得られたスペクトルの質も高くなかった。また、スペクトル分解能も十分でないことが多かった。 本研究で構築した高繰り返しのハイパーラマン分光計では、典型的な有機液体であれば数分程度でスペクトルが測定可能であり、非常に良好な信号/ノイズ比と高いスペクトル分解能を実現した。これにより、従来不可能であったハイパーラマン信号の偏光解消度測定を可能にし、さまざまな有機液体について測定を行った。また、測定時間が短縮化されたことから、温度変化測定も実現した。ハイパーラマン分光法は未開拓の手法であり、どのような分子のどのようなバンドが信号を与えるのかについてもわかっていない。本研究では、さまざまな液体試料を1064 nmと532 nmの励起光で測定することにより、さらに赤外吸収やラマン散乱の結果と比較することで、ハイパーラマン分光の基礎的な知見を数多く得た。有機液体の測定についてすでに論文が出版されており、さらに現在いくつかの結果について論文化が進んでいる。この信頼性の高いハイパーラマン分光装置を用いて、キラリティーの測定に挑戦する予定である。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|