2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Lifetime-controllable light emitting materials based on multicomponent molecular assembly
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17H04875
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 利和 九州大学, 工学研究院, 助教 (20643513)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超分子発光体 / 包接結晶 / 項間交差 / 外部重原子効果 / ベイポクロミズム / 顕微分光法 / 発光寿命測定 / 有機固溶体 |
Outline of Annual Research Achievements |
「分子を閉じ込める技術」を利用した室温大気下で燐光発光を示す有機結晶材料の開発を行っている。昨年度までに数百種類を超える結晶ライブラリを構築しており、これまで室温大気下で強燐光発光特性を示す材料に注目をしていたが、今年度は、敢えて酸素存在下にて発光強度変化が劇的に生じる材料の焦点を当て、室温下において様々な酸素濃度下における発光スペクトル測定や発光寿命測定を行った。昨年度課題としていたTDーDFT計算を用いて、化合物のトリプレット順位を予測することにより、実際に所望の発光色を示す酸素センサーの開発が可能となった。またセンサの作り込みにより、酸素濃度変化による発光強度変化、もしくは発光色変化を示す材料を見出した。前者は、OFF-ON型の酸素センサであり、後者はRatio型の酸素センサとなる。また応答能の異なるセンサ材料のセンサアレイ化を通じて、目視にて外部酸素濃度をモニタリング可能な材料の創成を達成した。これらの酸素センサの構築において、用いる化合物のトリプレット準位や外部重原子効果が重要であることを計算化学の観点からも明らかとした。結晶多形によるセンシング能が変化することも見出しており、構造と機能を突き詰めるには非常に良いデータになった。 同様に「分子を閉じ込める技術」を利用することにより、有機化合物の蒸気に応答して、発光する有機化合物センサの創製を達成した。本系においては、「分子を閉じ込める技術」において、設計するナノ空間のサイズを系統的に変化させることで、有機化合物の認識能の微細な調整を行った。様々な種類のセンサ材料を取得、選抜し、センサアレイ化することにより、芳香族分子の異性体を目視にて識別可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単に発光材料としての応用を検討するだけでなく、光学酸素センサや有機化合物センサとしての応用を行い、複数のセンサを用いたセンサアレイが可能となったため。本研究テーマ発案時には思いも浮かばなかったテーマへ進捗を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
室温大気下で強燐光発光を示す有機結晶材料を創製できているが、現段階では粉末であり、実材料に近いフィルム等の作成が実現できていない。そのためナノ結晶の創製、高分子との複合化、無機ガラス材料との複合化等を検討し、材料として応用を探る。また光学酸素センサや有機化合物センサの実現ができており、さらなる応用に向けて研究を実施する。
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