2018 Fiscal Year Annual Research Report
小分子RNA二重鎖イメージングを可能にする超高親和性近赤外蛍光プローブの開発
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17H04881
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 雄介 東北大学, 理学研究科, 助教 (90583039)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小分子RNA / 蛍光プローブ / 近赤外蛍光 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遺伝子発現抑制により多彩な生命現象を制御している小分子RNA二重鎖を可視化(イメージング)するための新規な分析手法を開発することにある。小分子RNA二重鎖をイメージングするための技術開発のハードルは極めて高く、一般的な手法はいまだ確立されていない状況にあるが、本研究では小分子RNA二重鎖を強力かつ特異的に捕捉しうる近赤外蛍光プローブを新規に創出することで、小分子RNA二重鎖の動態をイメージングし、遺伝子発現抑制のキープロセスである局在化・タンパク質との複合体形成を時空間計測しうる新規な分析手法を開発することを目指す。 本年度は、siRNA二重鎖を標的として、その3'末端オーバーハング構造ならびにオーバーハング構造近傍の二重鎖領域を同時に認識しうるThiazole orange(TO)擬塩基含有ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid: PNA)をベースとする蛍光プローブを用いてsiRNA二重鎖解析に適用した。昨年度見出したPyrene連結型プローブにおいて、Pyrene-PNA間のスペーサー長を変化させたプローブ群を合成し、これらの基礎特性解析を行った。最適化したプローブを用いることで、弱酸性条件下においてTotal RNA中の標的siRNAに対して選択的に結合し、TO擬塩基由来の発蛍光応答が得られることを見出した。一方、蛍光応答部位の改良を指向して、一連のシアニン色素群を擬塩基として導入した三重鎖形成性PNAを合成したところ、benzo[c,d]indoleを含むモノメチンシアニン色素が近赤外領域(>650 nm)において明瞭な発蛍光応答を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
夾雑系においても機能しうる蛍光性PNAプローブ設計指針が得られており、これは細胞内siRNA解析を実現する上で大きな進展である。さらに、イメージング解析に有用な近赤外蛍光応答を示す擬塩基に関して、モノメチンシアニン構造の有用性を示す結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内さらには生体内小分子RNA二重鎖解析で必須となる生理条件下での機能発現を指向したプローブ構造の更なる改良を進める。このためには、中性条件での三重鎖形成を可能にする人工核酸塩基が不可欠であるが、既報にあるシトシン塩基改変体に加えてナフチリジン誘導体など様々な水素結合性分子を用いることで、その開発を試みる。また本年度得られた予備検討の結果を踏まえて、より輝度が高く光安定性に優れたモノメチンシアニン色素を開発し、イメージング解析に適した蛍光応答機能の獲得を目指す。
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