2018 Fiscal Year Annual Research Report
Realization of Micro Spectrophotometer and Measurement of Single Cell Spectra by Photothermal Optical Phase Shift Detection Method
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17H04883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 久史 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (60631281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロ流体チップ / 光熱変換検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸光光度法は化学やバイオの基礎をなす分析法の一つであるが、マイクロ流体チップをはじめとする微小空間では光路長が短いために適用が難しい。そこでマイクロ空間で高感度に吸光度を検出するために光熱変換分光法が研究されてきたが、原理的にレーザを必要とするためにスペクトルの測定は困難であった。一方、研究代表者らは光の分離・干渉を用いて光熱変換効果を検出する光熱変換光位相差(POPS)検出法を独自に開発してきたが、POPS検出法は幾何光学ではなく波動光学に基づいているから、インコヒーレントな光源を用いて誘起した光熱変換効果を検出できるのではないかと着想した。そこで本研究の目的は、マイクロ流体チップに光ファイバを埋め込むことによってPOPS検出を高感度化し、光路長1cmと同等のスペクトル測定を光路長100 umで実現することとする。 前年度までに光ファイバを用いたPOPS検出の実証に成功したことから、本年度はデバイスを設計・製作しスペクトル測定を実証することを目的とした。ガラス基板上にウェットエッチングを用いて光ファイバ用のガイド溝、ドライエッチングを用いて試料用の流路をそれぞれ作製し、低温接合法を用いて上板と下板を貼り合わせた。続いて光ファイバを横から挿入し、ファイバとガラスの隙間に流動パラフィンを導入して屈折率を一致させた。完成したデバイスに波長可変レーザを導入したところ、波長に応じて干渉光が強め合ったり弱め合ったりしたことから、デバイスが干渉計として動作することを確認した。また、試料用流路に励起光を照射して光熱変換信号を検出することにも成功した。今後、光ファイバの固定法等を検討して干渉の安定性および再現性の改善に取り組んでいくほか、励起光の変調周波数等の条件を最適化して感度を最大化し、スペクトル測定の実証に繋げていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では2017年度中にデバイスを作製し、2018年度中にスペクトル測定を実証、2019年度は条件最適化および性能評価に取り組む予定であったが、2019年度末の段階でスペクトル測定を実証するに至っていない。これは、2017年度の段階でプローブ光源として使用することを見込んでいた可視光レーザでは干渉が起こらないことが発覚し、赤外の波長可変レーザを用いた追加の検証実験に1年を要したためである。また、2019年度にガラス基板の加工を業者に依頼した際、要求した仕様から大きくかけ離れた製品が納入されたことによって、再加工を依頼することとなり、加えて研究代表者らが実施する追加工の難易度も上昇することとなった。これらの事情が積み重なることにより、1年以上の遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年7月に研究代表者が東京大学のマイクロ・ナノ多機能デバイス連携研究機構に異動することとなったため、ガラスチップの作製から分光測定および細胞実験までを一つの研究施設で実施できる環境が整った。これを契機に、デバイスの設計、試作、測定、評価のサイクルを加速していく。また、先行して細胞実験にも取り組み、一細胞のスペクトル測定に必要な仕様を予め決定しておくことにより、当初の予定通りに研究目標を達成することを目指す。
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Research Products
(2 results)