2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H04885
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村岡 貴博 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70509132)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体関連化学 / 両親媒性分子 / 刺激応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元場での動的分子機能制御として、脂質二分子膜中の分子集合体である脂質ラフトを形成する人工分子の開発を行った。芳香族性骨格と、アルキル鎖の2種類の異なる疎水部を持ち、リン酸エステル基を介してオリゴエチレングリコールで連結した環状分子を新たに開発し、リン脂質から成るベシクル膜に添加した。室温での添加直後は、膜中に環状分子が分散していることが、蛍光顕微鏡観察や各種分光スペクトル解析から示唆された。加熱に伴い環状分子が膜中で集合化し、ラフト状構造体を形成することを見出した。さらに興味深いことに、加熱後の冷却過程において、集合部分が膜変形し、ベシクルバディング・膜陥入が生じた。この現象は、膜中での環状分子の濃度に依存したことからも、環状分子の自己集合が重要な要素であることが考えられる。オリゴエチレングリコール部位は、加熱に伴い立体構造を変化させることが知られる。この部分的な構造変化によって、環状分子全体の立体構造変化が起きることで、膜の曲率が変化し、膜変形を生じたと考えられる。 三次元場での動的機能制御として、これまでに開発した結晶多形熱転移を示す化合物が有するオリゴエチレングリコールと芳香族性部位から成る環状構造を基盤とした機能展開を行っている。2つの芳香族性部位を非対称にした構造や、非環状型分子構造について合成が完了し、今後詳細な解析を進める計画である。 以上より、二次元・三次元場での動的機能制御について順調に進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元場での動的機能制御について、平成29年度は脂質ラフト形成分子の構造条件確立を計画していた。芳香族性骨格と、アルキル鎖の2種類の異なる疎水部を持ち、オリゴエチレングリコールで連結した環状分子が熱に応答した脂質ラフト形成を示すことを見出し、この目標を達成することができた。 また、三次元場での動的機能制御については、オリゴエチレングリコールと芳香族性部位から成る環状構造について、構造と応答性の相関性を調べることを計画していた。これまでに目的分子の合成に成功し、今後迅速に解析を進めることでこの目標の達成につながると考えている。 以上より、現在までにおいて研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元場での動的分子機能制御に関して、新たな脂質ラフト形成分子の開発の他、その機能・応用展開、さらには生体膜中での検討などへ展開する。その際、熱以外の外部刺激に対して応答する分子の設計などについても検討する。 三次元場での動的機能制御として、結晶多形熱転移を示す化合物が有するオリゴエチレングリコールと芳香族性部位から成る環状分子についての詳細な物性評価と、その評価結果を踏まえた更なる分子構造最適化、機能化へと展開する。
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Research Products
(19 results)