2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative and versatile tag-peptide sequences
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17H04887
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤枝 伸宇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00452318)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 翻訳後修飾 / 翻訳後化学修飾 / Tyrosine dimer / Self-hydroxylation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、標的となるタンパク質・測定対象に与える影響を最小限にしたタグペプチドによるタンパク質標識を目指し、新奇なCross-linked Protein-derived Cofactors (CPDC)を持ったペプチドの開発を行う。金属結合ペプチドにおいて、金属による酸化的自己修飾反応を制御し、翻訳後化学修飾を誘起して自発的に形成される新たなクロモフォア、フルオロフォアを持った人工タグペプチド配列の検索を行う。本研究は、緑色蛍光タンパク質を基盤とした改変とは異なり、10残基程度のペプチドを土台として、自発的に形成される蛍光団や発色団をもつ革新的ペプチドの創製を試みるものである。 昨年度に引き続き、金属結合部位として銅もしくはニッケルイオンに対して選択的に結合するATCUN(Amino Terminal Cu(II)- and Ni(II)-binding Motif)配列(X1-X2-His)に着目した。分子量10kDa程度のタンパク質のN末端にこれら配列を結合させ、X1-X2の配列を変えた変異体とNiセファロースを用いてその結合量から金属結合能を評価した。昨年度、ATCUN配列後の数残基に二つのアミノ酸を導入し、その組み合わせと挿入位置を変えることで、チロシンダイマーの形成に挑戦した。本年度ではこれらの他の部位の配列を変化させその効率を観察した。5残基のうち、2つのチロシン残基以外の最適化を行った。これらのペプチドを用いて、pHやイオン強度に関する反応条件やヒドロキシルアミンなどの還元剤について最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、GGHGYGYGとGGHYGGYGの二種類のペプチドに関し、昨年度から引き続き反応条件を検討した。還元剤としてヒドロキシルアミンやアスコルビン酸を用いて反応させた。結果としてチロシンダイマーの量は還元剤の種類で大きく変化することがわかった。また、液体クロマトグラフィーを用いて分離、質量分析で検出したところ、チロシンダイマー、さらに酸素原子付加物(+16, +32)が検出された。これらはチロシンダイマー、チロシン-ドーパ、ドーパダイマーの形成を示唆している。そこで、そこでグリシンの部位を他のアミノ酸に変化させ、さらなる検討を行った。今後は配列を更に最適化し、条件検討することによって、反応の進行を促進し、タグとしての利用が可能になることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
最適化された金属結合配列を用いて、ATCUN配列後の数残基に二つのアミノ酸を導入したタンパク質を単離し、その組み合わせと挿入位置を変えることで、天然にはないCPDC形成に挑戦する。天然で見られるCPDCの構造から、自己修飾によって生じた簡単なPDCが二種類の反応経路で生成すると考えられる。まず、これまでおこなってきたチロシンダイマーの形成を発展させ、システインなどの反応性の高いアミノ酸残基を視野に入れ、他の配列へと展開する。うまく行かない場合は再度ATCUNモチーフの最適化を併せて行い、最も反応するものを再スクリーニングする他、還元剤を最適化する。
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