2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of noble metal-free photocatalyst system using iron-based organometalic complex as co-catalyst
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17H04888
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 源規 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (60700276)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光触媒 / 水分解 / 水素 / 鉄錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水素を生産する酵素ヒドロゲナーゼの鉄錯体構造に注目し、これを模倣した白金に替わる新規有機鉄系助触媒の開発を行い、光触媒に適切に組み込んだ「非貴金属系ハイブリッド光触媒」による水分解水素製造と、白金に変わる新たな鉄系助触媒の有用性を実証する。本年度は研究を始めるにあたり、過去の鉄錯体のスクリーニング並びに有機鉄錯体助触媒を開発し、その物性を明らかにするとともに、無機酸化物と鉄錯体助触媒を組み合わせ、光触媒のモデルを作ることを目的とし、研究を行った。 無機酸化物に固定するアンカー部位(化学吸着)として、カルボキシル基を有した有機鉄錯体を合成した。本化合物はエタノールやトルエンなどの極性ー非極性溶媒に可溶であり、溶液法により光触媒に担持可能であることが分かった。この助触媒の電子受容電位は-0.9V vs NHEと推定された。次に鉄錯体に光触媒からの電子注入を行うため、適切な光触媒を組み合わせ電子を光触媒から鉄助触媒へ注入できる系を探索した。種々の組み合わせについて検討したところ、メラニンから作成される光触媒が >-1.0 vs NHEを有し、かつカルボキシル基を有した有機鉄錯体を化学吸着可能であることが、吸収スペクトル、赤外スペクトルの分光法を用いた解析により明らかとなった。このハイブリッド光触媒を用いて水分解反応を行ったところ、水素の生成が確認された。 さらにメラニンから作成される光触媒は有機色素も担持可能であることが分かってきているので、次年度はハイブリッド光触媒系の最適化並びに水素量の同定、また有機鉄錯体の改良を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は有機鉄錯体の合成並びに光触媒との組み合わせについて検討する予定であったが、次年度の予定であった光触媒水分解の実験並びに水素生産の同定実験まで進捗があった。さらに、鉄錯体ハイブリッド光触媒による水素生産が確認できたので、本年度は予定通り進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の目的である光触媒系の水素生産への道筋が今年度で達成できたので、今後はハイブリッド光触媒系の最適化並びに水素量の同定、また有機鉄錯体の改良を行う。 また、メタルフリー色素-光触媒-鉄錯体助触媒を組みあわせ、色素を用いた可視光応答型「ハイブリッド光触媒」を開発し、反応メカニズムと性能の関係を明らかにする。 光触媒-鉄錯体助触媒系にメタルフリー色素を組み込むことにより、色素に対応した可視光を用いた光触媒の開発を行う。今後最適化される光触媒-鉄錯体助触媒系に適応する色素を系統的に組み合わせ、光水分解時の水素製造量を精査する。過渡吸収測定と理論計算を用いることでハイブリッド光触媒系の反応機構を明らかにする。
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