2017 Fiscal Year Annual Research Report
High efficiency water-splitted photoelectrode using metal nanopillars embedded in oxide thin films
Project/Area Number |
17H04895
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 竜太 東京大学, 物性研究所, 助教 (80546573)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 水分解光電極 / 水素合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パルスレーザー堆積手法によって酸化物薄膜の中に金属のナノピラー構造を自己組織的に成長させ、水分解光電極材料として応用を図り、水と太陽光照射から水素を合成する化学反応の高効率化を目指している。特に、IrとRhをドープしたSrTiO3の単結晶薄膜の合成を行い、不純物イオンの価数を精密に制御する、そしてその価数を可逆的に制御することに取り組む。 これまでの実験ではRh3+:SrTiO3薄膜を作製するには、還元条件下で薄膜を堆積するプロセスを利用してきた。しかしながら、A-siteとB-siteの組成ズレに起因する結晶欠陥が発生し、フォトキャリアの寿命を短くなり、光触媒特性の特性が悪くなる原因になっていた。昨年度の実験では、高品質なRh4+:SrTiO3薄膜を作製してから、高温真空下でアニールすることによって、高品質なRh3+:SrTiO3薄膜を作成することを試みた。その結果、従来の薄膜に比べ約2倍の光電流を利得することができることが判明し、高品質な単結晶薄膜を作製することが光触媒能を向上させる手がかりになっていることを裏付けている。 さらに、試料作製と評価を行いながら、波長分散型の蛍光X線分析装置を新しく導入し、この装置を用いて光触媒薄膜の組成を精密に制御する実験に利用し、微量の不純物ドーパントを定量評価することが可能になった。今後はこの材料プロセスと分析手法を積極的に利用し、さらなる水分解光電極反応の高効率を目指し研究を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のプロセスで作製した光電極薄膜の特性に比べ、不純物イオンの価数を精密に制御しながら、高い結晶性を持つ可視光応答光電極を合成することが可能になった。また、結晶性の向上は光電極反応の効率を向上させる手がかりになっていることも明らかになり始めている。以上から総じて、”おおむね順調に進展している”とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
薄膜の結晶性を向上させることが光触媒反応の効率を向上させる手がかりになっていることがわかってきている。さらに薄膜内の欠陥量の低減を図りながら、Rh:SrTiO3の光触媒能を向上させるためにLaを共ドープした薄膜結晶の合成と評価を進める。Rh3+:SrTiO3ではRh3+がB-siteのTi4+のサイトに入ることが知られ、結晶内の価数のバランスを保つために酸素欠損が発生してしまう。この酸素欠損の発生を防ぐためにLa3+をA-siteにドープすることを試み、欠陥量の低減を図る。また、Rhの価数制御の実験と並行し、PtをドープしたSrTiO3薄膜の実験を開始し、金属ナノピラー構造の自己組織化を目指した実験も進める。
|
Research Products
(12 results)