2018 Fiscal Year Annual Research Report
臼蓋カップゆるみ機構の力学/化学/生物学的因子の相互作用解明とその力学的制御
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17H04898
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
大塚 雄市 長岡技術科学大学, 技術経営研究科, 准教授 (80467084)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水酸アパタイト / 溶射皮膜 / フレッティング疲労 / 界面破壊力学 / 細胞毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤外線カメラとAE計測を併用して,臼蓋カップのゆるみ挙動に及ぼす界面損傷の影響を検討した.赤外線カメラにより,模擬骨の内部に生じる損傷,および模擬骨-臼蓋カップの界面で生じる摩擦により発生する熱変化を区別して測定できることが明らかとなった.AEにより得られた界面損傷の頻度と,赤外線カメラにより計測された模擬骨損傷がそれぞれ臼蓋カップの角変位および沈降変位と相関性を有することを実験的に明らかにした.フレッティング疲労その場観察装置を用いて,HA溶射皮膜-模擬骨界面の疑似体液中疲労試験を行い,はく離進展量を計測した.その結果,疑似体液中で固定材ー溶射皮膜間でのはく離が生じることで水酸アパタイト溶射皮膜-基材間のはく離が生じていくこと,そのはく離進展量が応力依存性を有しており,水酸アパタイト溶射皮膜の溶解がすき間内部で促進されていることを確認した.また,破面観察によっても,溶射皮膜の溶解が生じていることが確認された.フレッティング疲労その場観察装置に細胞培養装置を組合せて,その場細胞毒性装置を構築した.マウス骨芽細胞様細胞を短時間の培養を実施し,試験装置中での培養においても細胞増殖性に影響がないことを確認した.一方で,フレッティング疲労試験装置のアクチュエータ及び溶液層などからの微細粉末や治具で生じる摩耗などの影響によって,長時間培養する場合には細胞増殖性に影響が出ることが明らかとなった.そのため,装置の治具や溶液層などの改良を行う必要があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたフレッティング疲労試験装置における細胞毒性その場評価について,アクチュエータ及び溶液層などからの微細粉末や治具で生じる摩耗などの影響によって,長時間培養する場合には細胞増殖性に影響が出ることが明らかとなった.そのため,装置の治具や溶液層などの改良を行う必要があることが明らかとなった..また,一方で,次年度意向予定している模擬骨に対する溶解カプセルの導入などの基礎的な検討を行っていること,また,フレッティング疲労試験装置の改良についてもその基本設計は完了しており,次年度に試験を行うことは可能であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
フレッティング疲労その場観察においては,細胞毒性評価を行うための培養系を改良し,摩耗粉の排出挙動と細胞の生着率を計測することが可能な試験系を構築する.そして,フレッティング摩耗粉の排出挙動と細胞毒性,および摩耗粉の物理化学的性質との対応関係を実験的に明らかにすることを目指す. 赤外線カメラとAE計測を併用して,臼蓋カップのゆるみ挙動に及ぼす模擬骨の損傷の影響を,模擬骨の弾性率,気孔率および溶解性の変化に対応させて実験的に明らかにすることを目指す.
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Research Products
(14 results)