2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on intermolecular energy potential in a polar molecule by multi-spectroscopy using acoustic and electromagnetic waves
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17H04908
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
狩野 祐也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90510040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音波 / 電磁波 / スペクトロメータ / 分子間ポテンシャル / 音速 / 誘電率 / 粘性 |
Outline of Annual Research Achievements |
有極性分子サンプルとしてオレフィン系フッ素炭化物やエーテル系フッ素化合物などを用い、円筒型キャビティにおける音波・電磁波共振を利用したマルチスペクトロメータ1号機を用いて、気相域の音速および誘電率を幅広い温度・圧力域にわたって測定した。得られた測定データに基づき、音響ビリアル状態式ならびに誘電ビリアル状態式にフィッティングすることでビリアル係数を求め、圧力0に外挿することで理想気体状態の定圧比熱およびモル分極率の値を求めた。さらに、モル分極率の温度依存性を調べることで、デバイの関係式に基づき永久双極子モーメントを導出した。分子間ポテンシャルと密接に関係しているこれらの測定データと、原子団寄与法による推算値やGaussianによる量子化学計算に基づく計算値とを比較したところ、5%以上の相違があることが分かった。これらの研究成果について、国際会議(The 2nd Pacific Rim Thermal Engineering Conference)おいて口頭発表し、査読付きプロシーディングスを投稿した。 また、ガスサンプルの粘性測定に特化した、ヘルムホルツ音波共鳴器によるスペクトロメータ2号機の開発にも着手し、その基本的な動作確認テストを完了した。さらに、高圧域における物性データの挙動を調べることを目的として、高圧域における音速測定に特化した、超音波パルスを用いたシングアラウンド法による音速測定装置を新たに導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、円筒型キャビティにおける音波・電磁波共振を利用したマルチスペクトロメータ1号機の開発および改良に取り組み、幅広い温度域(250~420 K)および圧力域(~3 MPa)にわたって高精度な音速と誘電率の同時計測を実現する装置を開発した。また、ガスサンプルの粘性測定に特化した、ヘルムホルツ音波共鳴器によるスペクトロメータ2号機の開発にも着手し、その基本的な動作確認テストを完了している。さらに、高圧域における物性データの挙動を調べることを目的として、3MPa以上の高圧域における音速測定に特化した、超音波パルスを用いたシングアラウンド法による音速測定装置を新たに導入した。 上記のような測定装置を用い、冷媒など作動流体としての利用が期待されているオレフィン系フッ素炭化物やエーテル系フッ素化合物などを有極性分子サンプルとして、気相域の音速および誘電率を幅広い温度・圧力域にわたって測定した。得られた測定データに基づき、音響ビリアル状態式ならびに誘電ビリアル状態式にフィッティングし、圧力0に外挿することで理想気体状態の定圧比熱およびモル分極の値を求めた。さらにモル分極の温度依存性を調べることで、永久双極子モーメントを導出した。得られたこれらの測定データと、原子団寄与法による推算値やGaussianによる量子化学計算に基づく計算値とを比較したところ、5%以上の相違があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発した各種マルチスペクトロメータや新たに導入した音速測定装置などを用いて、様々な有極性分子サンプルについて気相域における音速や誘電率、粘性などの物性を幅広い温度・圧力範囲において測定し、分子間ポテンシャルを評価するためのデータを蓄積する。また、得られた測定データに基づき、分子間ポテンシャルと密接に関係している理想気体状態の定圧比熱やモル分極率、ビリアル係数や双極子モーメントなどを導出する。スクウェアウェル型、レナードジョーンズ型、ストックマイヤー型など、提案されている様々な分子間ポテンシャルモデルと得られた物性データを比較することで、各分子間ポテンシャルモデルの再現性を評価する。極性を有する様々なサンプルについて分子間ポテンシャルの挙動を精査することで、より厳密にポテンシャルを再現することができる新たな分子間ポテンシャルモデルを構築する。
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Research Products
(2 results)