2019 Fiscal Year Annual Research Report
磁界共鳴が創造するユビキタスエネルギー社会における漏洩磁界キャンセルの研究
Project/Area Number |
17H04915
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
居村 岳広 東京理科大学, 理工学部電気電子情報工学科, 准教授 (30596193)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ワイヤレス電力伝送 / 磁界共振結合 / 漏洩磁界抑制 / センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は『磁界共鳴が創造するユビキタスエネルギー社会における漏洩磁界キャンセルの研究』と題し、キャンセル技術に比重をおいて磁界共鳴によるワイヤレス給電の包括的な研究を4ヶ年かけて行なう課題である。3年目の平成31年(令和元年)度に関しては、主に送電側のコイルに着目し複数コイル間のクロスカップリングキャンセリングについての理論拡張を行い、電力増加効果を確認した。構造的な制約がある部分に関しては、クロスカップリングキャンセリングはできないが、一方で、構造的な制約は関係なしでキャンセリングできる部分に関しての理論化、そして、設計法の確立を行なった。これにより、初年度より苦しんできた電流位相のずれの問題が最小限に抑えられた。また、走行中給電における送電コイル間距離を無駄に空けなければいけないという問題もクロスカップリングに起因していたため、これらの解決もつながる。更に、本研究は幅の持った研究を行なう事も重要視してきたが、その一つの成果として、センシング技術への応用、センサレス給電への技術拡大も行なった。この技術は電欠になりかつ壁などに埋め込まれて、埋められた場所の分からないIoT機器の検出、給電に使える技術であり、ワイヤレス電力伝送技術の用途拡大に大きく貢献できる技術である。センシング技術の応用として金属異物検出の成果も得られており、技術領域を拡張する事にも成功している。最後に通信レス独立制御として、新しい取り組みとしてDouble LCCを利用することで、従来のS-S方式では必須となっていたパルス検知システムや、受電側をショートモードにする待機モードを不要とすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノイズキャンセルに必要な技術は多岐にわたるが、一つ一つの技術を解決してきたので、本年度は複数コイル間のクロスカップリングキャンセリング技術の送電側に着目し、理論を拡張して電力増加をすることが出来た。また、次年度行なう予定であった磁性材を用いた検討もスタートでき、遠方における磁界抑制効果を確認でき、来年度テーマとして十分に耐えられる見通しを得た。更に、課題Fとして掲げていた2019年度に新たにはじめたセンシングに関しては、周波数やQ値含めたパラメータの最適化により当初想定したより大きなエアギャップで検出が出来ることがわかり、今後の発展が期待される。また、センシング技術の応用として金属異物検出を行い、同様に周波数やQ値含めたパラメータの最適化を適用することで限定領域ながら空中でもクリップサイズでも可能な事が分かり、ワイヤレス電力伝送における金属異物の発熱問題解決への応用が期待される。更に、通信レス独立制御として、新しい取り組みとしてDouble LCCを利用することで、従来のS-S方式では突入電流が問題になっていたので、必須となっていたパルス検知システムや、受電側をショートモードにする待機モードを不要とすることに成功した。これら結果を踏まえると、謙虚に判断してもおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるので、アプリケーションに特化した研究を行なう。特にフェライトの磁束を曲げられる効果はアプリケーション適応という観点においては非常に有益であり、今年度もメインストリームではなかったが、検討も重ねてきている。当然ながらフェライトは安価ではないので、くびれ構造など形状の工夫により必要最小限利用にする。また、近傍ではなく遠方磁界の低減の方が難易度が高くかつ需要も大きいことが分かっており、遠方での漏洩磁界低減を狙っていく予定である。2019年度中に遠方での抑制効果までは確認出来た。そこで、電力と漏洩磁界抑制効果の線形性の理論化や、走行中給電に必要な電力を加えたときにでも抑制できるシステムの構築などを目指す。また、走行中給電システムは多数の提案があるが、その中でもDDコイルの提案があり、DDコイルにおけるクロスカップリングキャンセリングと漏洩磁界抑制や、3相システムにおけるクロスカップリングキャンセリングと漏洩磁界抑制の両立なども研究する予定である。また、また最終年度であるため、提案した全課題を包括し、完成度を上げていく研究も併せて行なっていく。また、対外的な発表も増やす予定である。
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Research Products
(41 results)