2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Novel Bearingless Motor Drive Technology for Energy-Saving
Project/Area Number |
17H04916
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉元 紘也 東京工業大学, 工学院, 助教 (60613552)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ベアリングレスモータ / 磁気軸受 / 高効率 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の前半は,従来試作機の損失発生要因を明らかにするための実験を行った。負荷として,3Dプリンタで製作したファンブレードを回転子に取り付けて,浮上回転試験を行った。パワーメータで入力電力と銅損を測定し,銅損と鉄損の割合を計算した結果,銅損が支配的であることが明らかになった。そこで,高速・低トルク化することで,銅損を低減し,同一出力での効率向上を図るための設計を行った。回転子は,極数が異なる2本の試作機を製作した。次年度に,従来試作機の固定子に組付けて,実験を行い,効率・損失を比較する予定である。 平成29年度の後半は,ベアリングレスモータ用コントロータ及びインバータの開発を行った。高速域で消費電力を低減するためには,モータの効率向上だけでなく,磁気支持電力を低減する必要があり,高速な電流制御が必要不可欠である。そこで,本研究で提案している1軸制御形シングルドライブベアリングレスモータ専用のコントローラ基板を製作した。さらに,1軸制御形専用の変位センサヘッド及び基板を製作した。次年度に,試作した新しい回転子と合わせて,安定な磁気支持と高速回転を実現する予定である。 また,平成29年度に行った実験の中で,新しい有益な実験結果が得られた。ファンブレードを回転子に取り付けると傾き方向の振動が大幅に低減されることが明らかになった。この研究成果の発表は,電気学会の研究会で高く評価され,優秀論文発表賞本部表彰を受賞した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,従来試作機を用いた損失発生要因の分析と,効率を向上するために改良した試作機の設計及び製作を行い,さらに,制御性向上のため,1軸制御形シングルドライブベアリングレスモータ専用の新しいコントローラ基板及び変位センサの製作を行ったため,本研究は計画通り順調に進展している。 また,従来試作機の実験の中で,新しい有益な実験結果が得られた。本研究で提案している1軸制御形シングルドライブベアリングレスモータに関して,ジャイロ効果を考慮した傾き方向の運動方程式から,ファンブレード有り無しでの試作機の危険速度を算出した。また,実機検証を行い,ファンブレード有り無しでの回転軸の振動を比較し,ファンブレード有の方が軸振動は小さいことが明らかになった。さらに,ファンブレード有でのモータ加速時の傾き方向の振動波形を測定し,タッチダウンせずに危険速度を通過可能であることを明らかになった。研究代表者は,この研究成果を2017年12月に開催された電気学会の研究会で発表し,優秀論文発表賞本部表彰を受賞した。したがって,本研究は順調に成果を挙げている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,設計・試作したベアリングレスモータ及び新しいコントローラを用いて実験を行い,提案システムの有効性を実機で検証する予定である。実験では,まず安定な磁気支持と高速回転を実現し,負荷試験を行う。その際,完全非接触で磁気支持されたベアリングレスモータと機械的ベアリングで回転軸を支持したモータの効率と損失を比較し,ベアリングレス化による省エネルギー効果を定量的に明らかにする。 また,高速化と高トルク化を両立した新しい構造を提案する。平成30年度の前半に設計及び試作を行い,平成30年度の後半から試作機の組み立て及び実験を行う予定である。 さらに,平成29年度に明らかになった1軸制御形シングルドライブベアリングレスモータの傾き方向の振動低減と危険速度通過方法について,半径方向の運動も考慮し,理論構築と実機検証を行う。 研究成果は,IEEEの国際会議や電気学会の研究会で積極的に発表する。また,展示会に出展し,社会に広く研究成果を発信する。
|
Research Products
(2 results)