2017 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカプセルコンポジット絶縁材料による低環境負荷型電力機器の開発
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17H04917
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
栗本 宗明 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70580546)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノコンポジット / 誘電率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノカプセル(気体を封入したナノサイズ粒子)をポリマーと複合した電気絶縁材料をナノカプセルコンポジット絶縁材料と定義し、ナノカプセルコンポジットの電力機器への適用可能性を明らかにすることを本研究全体の目的とする。特に、ナノカプセルコンポジットの絶縁強度を検証するための検討を行っており、平成29年度は次に示す実験項目を実施した。 (1) 充填率制御コンポジットの創製と評価 (2) コンポジットの3次元電界解析モデルの構築 (3) ナノカプセルコンポジットの絶縁破壊電圧の評価
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノカプセルの充填率を検討し、10%と16%の充填率を持つナノカプセルコンポジットを作製した。ナノカプセルコンポジットの比重測定から、ナノカプセル1粒子あたりの空孔率が平均70%であることを確認した。シート成形したナノカプセルコンポジットの誘電率測定結果から、ナノカプセルコンポジットが持つ低誘電率特性を明らかにした。
ナノカプセルコンポジット内部におけるナノカプセルの形状、配置、配向を検討し、立方体形状のナノカプセルを樹脂中にランダムに配置および配向した3次元電界解析モデルを構築した。このモデルの誘電率が、充填率の制御範囲において実験値と一致したことから、モデルの妥当性を確認できた。モデルの感度解析を行った結果、ナノカプセルの形状が他のパラメータよりも誘電率に影響を及ぼし易いことを明らかにした。さらに、モデル内部電界を抽出するプログラムを構築した。
充填率制御ナノカプセルコンポジットを用いてMcKeown電極を作製し、ナノカプセルコンポジットのバルク部分の交流絶縁破壊電圧を評価した。その結果、10%と16%の充填率を持つナノカプセルコンポジットの絶縁破壊電圧は、同充填量を持つ中空構造を持たないコンポジットと同等であることを確かめた。これは、充填率の制御範囲においてもナノカプセルが絶縁の欠陥となっていないことを示唆する。
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Strategy for Future Research Activity |
・ナノカプセルの放電開始電圧およびナノカプセルコンポジットの絶縁破壊電圧の推定方法検討 構築した3次元電界解析モデルを用いてナノカプセル内部の電界分布を評価する。その結果をもとに、電子なだれの成長条件などを考慮し、ナノカプセル内の理論放電開始電圧を求める方法を検討する。また、ナノカプセル内の放電開始からそのままコンポジットの絶縁破壊に至るとの破壊モデルなどを仮定し、ナノカプセルコンポジットの絶縁破壊電圧の理論値を算出する方法を検討する。
・ナノカプセルコンポジットの絶縁破壊電圧の評価 直流、交流、インパルスなどの波形を持つ高電圧をナノカプセルコンポジットに印加し、その絶縁破壊電圧を測定する。推定する絶縁電圧の理論値に加えて中空構造を持たないコンポジットと比較することより、ナノカプセルの絶縁強度を評価する。
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