2017 Fiscal Year Annual Research Report
液体Siナノインプリントによる近赤外線センサの創製
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17H04923
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 貴史 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (70643138)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノインプリント / 半導体Si |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは独自に開発した「液体シリコン(Si)」を用いた「ナノインプリント法」によりSi面内に調微細構造をデザインし、その上に金(Au)を蒸着するだけで近赤外光を効率よく吸収する「光アンテナ」機能が出現する事を見出した。この「光アンテナ」はSi/Au界面を持ち、光エネルギーをそのショットキー接合界面で光電流に変換し得る機能を有している。 本年度は「液体Si」のナノインプリト加工時に主役となる物理挙動、「液体Si→固体Si」変換過程の解明に取り組むために研究補助員を雇用した。そして過渡吸収分光測定法を用いて液体Si内で固体化の起点となる活性種の評価解析を進めた。シリルとシリレンの働きに着目をしたところ、液体Si内のSi-Siのネットワーク化(固体化)の起点にはシリレンが重要な役割を果たすこと、更にそれだけでなく液体Si材料の安定性、得られる薄膜の機械特性や膜密度等にも影響を及ぼすことが明らかとなった。具体的にはシリレン濃度が高いと液体Si→固体Siへの固化速度が加速し、表面モルフォロジーと膜密度が低下した。またシリレンの種類は複数存在していることが示唆される結果を得ており、液体Siの固体化機構が複雑である事が明らかとなった。それら結果を踏まえ、来年度はシリレンの濃度や発生タイミング、反応機構に着目をして液体Siの物性解析とナノインプリント特性の相関を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで謎に包まれていた液体Siの固体化過程の反応機構の解析に取り組み、それがインクの安定性や塗膜の均質性に強い影響を与える事を明らかにした。特に固体化の起点になるのがシリレンである事、さらに複数のシリレンとそれに応じた複数の反応ルートを持つことを明らかに出来た事は、液体Siの固体化の反応機構を考える上では極めて貴重な情報である。更に過渡吸収スペクトル測定によって材料劣化が発生することを明らかにし、より好ましい実験条件環境への移行を進めた。シリレンの反応ルートが全て明らかになっていないが、装置や測定条件の改善により、次年度の実験の中でシリレンを介した固体化反応の詳細が明らかになってゆくと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
時間分解過渡吸収分光法は、液体Si中に発生するシリレンの解析にとても強力なツールであったが、ポンプ光によって材料自身が劣化してしまう課題が明らかとなった。今年度は昨年度の取組みを更に発展させ、液体Siの固体化機構に及ぼすシリレンの役割を深く理解する事を目指す。特に時間分解過渡吸収分光法では装置面での改善を図り、測定時の光劣化を最小限に抑える工夫をする。具体的には浜松ホトニクス社製の装置の機能に着目し、多波長同時計測による一括測定に取り組む。これにより1回測定で全波長の分光測定が可能となり、材料の劣化に邪魔されない分光測定結果を得ることができる。
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