2017 Fiscal Year Annual Research Report
設計図自動復元システムを援用したRC橋梁の重大事故に対するテイルリスク評価
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17H04932
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岡崎 慎一郎 香川大学, 工学部, 准教授 (30510507)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テイルリスク / RC橋梁 / 重大事故 / コンクリート / 近赤外分光法 / 塩害 / 破壊力学 / 図面自動復元システム |
Outline of Annual Research Achievements |
財源や人材が豊富ではなく,維持管理が十分なされていない地方自治体の鉄筋コンクリート橋梁(以下RC橋梁)では,落橋等の重大事故発生のリスクが高まっている.申請者はこれまで四国内の橋梁事故調査を行い,設計図面が残存しない等の設計情報の不十分さと,塩害や中性化による鉄筋腐食等の材料劣化の局所化が,重大事故のリスクに与える影響が大きいことを把握している.本研究では既存RC橋梁を対象に,これらの要因がもたらす重大事故に対するテイルリスクの評価を行うとともに,不足した設計情報を低コストにて補完できる,RC橋梁の設計図の自動復元システム構築する.最終的には地方自治体での維持管理業務における,テイルリスク評価の試験運用を行うものである. 平成29年度は,以下の研究成果が得られた.①RC橋梁上部工の設計図自動復元システムの構築を行った.②機械学習により四国内橋梁の劣化要因分析を行い,主に海岸線からの距離や,漏水・滞水,空間での位置が劣化に与える影響を評価した.また,劣化予測に関する回帰モデルの構築を行った.さらに,橋梁の劣化シナリオの整理を行った.③供用を終え,切り出した床版橋梁を入手し,独自に開発した近赤外分光装置による表面塩化物イオン濃度の空間的な分布を計測した.④破壊力学に基づくコンクリートの損傷解析により,鉄筋腐食による局所的な劣化をシミュレートし,橋梁を構成する部材の精緻な破壊現象の再現の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
劣化シナリオの構築にあたり,申請書には記載していない,機械学習を援用した検討が行えている.また,採取した実橋の部材の調査にあたって必要な測定機器の入手が諸事情にて危ぶまれたが,これを独自に開発することによりフォローしている.
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Strategy for Future Research Activity |
・設計図面自動復元システムの構築を引き続き実施する.平成29年度では,RC橋梁上部工のシステムの構築を終えたため,本年度は,下部工の復元システム構築を目指す.また,復元データに,実際の点検データを同化させるシステムを構築する. ・材料劣化を考慮した被災シナリオの想定を引き続き実施する.平成29年度では,四国内橋梁の20年間の点検データを取得し,データ駆動型による機械学習により劣化進行の分析と劣化予測に関する回帰モデルの構築を行い,材料劣化シナリオの把握は概ね完了した.今後,地震動や疲労荷重などの作用による被災シナリオを検討し,材料劣化の影響を連成させた場合のシナリオを構築する.また,被災に対するテイルリスクの算定も行う.
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