2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of method for evaluating the risk of levee breaching due to overtopping flow considering uncertainty of levee material
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17H04936
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
八木澤 順治 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (70549998)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 堤防 / 越流侵食 / 浸透流 / 粘性土 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は堤防の破堤リスクを把握するための前段階として,越流水および堤体侵食過程を高精度で評価できる計算モデルの構築した.本モデルは,越流流れ解析(鉛直2次元),浸透流解析(Richards式およびvan Genuchten式),堤体の浸食解析および簡易な滑り破壊を考慮したものから構成される.本モデルの特色は,(1) 砂等の非粘着性材料に細粒分が含有した“粘着土”の移動限界を考慮している点,(2)堤体表層の浸潤状態に応じたサクションのせん断抵抗増分を考慮している点,にある. これらの影響を含めたモデルの妥当性を検証するため,堤体モデルの侵食実験を実施した.実験は長さ300cm,幅40cm,深さ50cmの開水路に,水路中央部に模型堤体(堤体高20cm,基礎高10cm,表・裏法面勾配1:2,細砂・細粒分で構成される建設改良土)を設置し, 越流水深が6cmとなる状態で160秒間通水し,堤体の侵食量を計測した.実験条件を再現した数値解析により得られる侵食量と実際の侵食量を比較することでモデルの妥当性を確認した. 解析は3種類実施し,それぞれ,(1) 従来より非粘着性材料に用いられているpick-up rate式を適用,(2) サクションによるせん断抵抗増分を考慮,(3) (2)に加えて細粒分が含有することによる細砂の移動限界の影響を考慮,である.それぞれのモデル化に応じた侵食量を比較した結果,細粒分混じりの堤体材料に対しては,サクションによるせん断抵抗増加の効果,粘性土の侵食耐性の効果をモデル化することで,従来用いられている非粘着性材料を対象とした地形変動解析手法に比べ,侵食量の精度が大幅に改善されることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度の目標として掲げていた項目は,(1) 異なる飽和度条件下における侵食特性の検討,(2) サクションによるせん断強度増分の既存モデルへの組み込み,である. (1)については,実験室スケールでの堤体侵食実験により,越流前の堤外側の水位条件を変化させることで,越流時の裏法面表層の浸潤状態を変化させた侵食実験を複数実施している.結果としては,裏法面まで飽和したケースの方が,不飽和状態で越流するケースと比較して侵食量・速度が大幅に増加することを明らかにしており,概ね計画通り進行している.一方(2)については,モデル化にやや時間を要したため,(1)で実施した実験ケースの全てを解析するには至っていない.しかしながら,主なモデル化(サクションによるせん断抵抗増分)の効果が最も浮き彫りとなると考えられる,裏法面が不飽和な状態で越流した実験ケースに改良した解析モデルを適用した.その結果,サクションによるせん断抵抗増加の効果をモデル化することで,従来用いられている非粘着性材料を対象とした地形変動解析手法に比べ,侵食量の精度が大幅に改善されることを明らかにし,本モデル化の重要性を示唆する結果が得られている. 上記のように,モデル化の妥当性を判断するため、実施した全ての実験の検証はできていない状況ではあるものの,最もモデル化の影響が強いと考えられる実験ケースについては,サクションによるせん断抵抗増加の効果をモデル化が有効であることは確認できていることから,現状では計画に対する進捗状況としては概ね良好であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は,H29年度に改良した解析モデルを用い,河川堤防の破堤確率評価を試みる.その際,水位上昇率,透水係数,粘着力,内部摩擦角等の不確実性の強いパラメータを系統的に変化させ,河川の各断面の境界条件に対応した破堤確率を求める.対象河川として,2015年9月に実際に破堤が生じた鬼怒川を想定しており,対象断面の抽出には,LPデータから作成されたDEMをもとに,越流が生じる可能性が高い箇所を縦断的に複数選定して解析を実施する. それらの解析を通じて,各パラメータの発生確率に,その事象が破堤確率に与えるインパクトを掛け合わせ,リスクとする.各リスクを求め,横軸をインパクト,縦軸を発生確率としたリスクマップを作成し,河川の各断面における破堤リスク評価を行う.最も危険性の高いリスク,さらには全体的なリスクを低減させるため抑制すべき事象を解析によるパラメトリック解析を通じて同定し,破堤リスクの抑制に効果的な堤防強化手法を提案する予定である.
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Research Products
(4 results)