2018 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of microplastics fluxes using river flow and basin data
Project/Area Number |
17H04937
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
片岡 智哉 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 助教 (70553767)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 河川マイクロプラスチック / 輸送量モデル / 鉛直分布 / 横断分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,河川流況及び流域特性を考慮した河川におけるマイクロプラスチック(MP)の輸送モデルを開発するものである.本年度の研究実績は,主に3つである. 1. 大小様々な流域特性を持つ全国河川で河川表面におけるMP濃度(プランクトンネットで採取したMPの数量と質量をネットを通水した濾水量で除した値)を調べ,MP濃度が人口密度や市街地率(流域面積に対する市街地面積の割合)と有意な相関をもつことが明らかとなった.さらに,MP調査地点近傍の様々な水質指標と比較して,河川の代表的な汚濁指標である生物学的酸素要求量(BOD)の他,溶存酸素(DO),全リン(T-P)及び全窒素(T-N)と統計学的な有意な相関があった.以上のことから,人口が集中する汚濁河川でMP濃度が高いことがわかった. 2. 初年度に実施した横断分布と鉛直分布の比較により,鉛直分布が輸送量評価において極めて重要であることが明らかとなったため,2年目は河川断面におけるMP濃度の鉛直分布をより詳細に把握することにした.そこで,昨年度と同様の江戸川野田橋(河口から39km)において河川水中8層のMP濃度鉛直分布(初年度は3層のMP濃度鉛直分布)を計測した.その結果,表層と底層に極大値をもつMP濃度の鉛直分布を得ることに成功した.これは,底層にMPが沈降していることを示唆しており,MPが流況によって巻き上がることを示唆している. 3. 荒川,鶴見川を対象に上流から下流までのMP濃度の河川縦断分布を調べた.その結果,両河川に共通して中流域でMP濃度が高いことがわかった.これはライン川で計測したMP濃度の河川縦断分布の結果とも一致しており,中流域に主要な発生源があることを示唆している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画において2年目は,河川におけるMP濃度のデータを用いてモデル化に試みた.多数の全国河川でMP濃度が流域特性(人口密度,市街地率)と有意な相関があることからこれらを説明変数とした回帰モデルを構築した.この成果は,国際学術雑誌Environmental Pollution(IF=4.358)に論文が掲載された.また,より詳細なMP濃度の鉛直分布を計測することで,表層と底層で極大となるようなMP濃度鉛直分布モデルを構築した.これに加えて,当初計画では予定していなかった1河川におけるMP濃度縦断分布を計測し,流下方向におけるMP濃度の違いを示すことができた.以上のことから,当初計画以上に進展していると自己評価した.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は構築したMP輸送モデルを用いて江戸川以外の他河川でのMP輸送量の試算に試みる.同河川でMP濃度の鉛直分布を計測してMP輸送量を評価し,モデルによる試算結果と比較することで精度検証を行う.検証結果が良好な場合は,全国109一級水系の本川に構築したMP輸送モデルを適用し,我が国からのMP輸送量を試算し,グローバルの推定結果(Lebreton et al., Nature Communication, 2017)と比較する.本結果を国際学術雑誌に投稿する.
|
Research Products
(4 results)