2018 Fiscal Year Annual Research Report
Exploiting sensitive aptasensor technologies for rapid on-site detection of infectious norovirus in the environment
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17H04939
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北島 正章 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30777967)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アプタマー / ノロウイルス / バイオセンサー / 環境水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヒトノロウイルスのモデルとしてマウスノロウイルスを使用し、環境水中の感染性ノロウイルスの迅速検出のための電気化学センサー技術の開発を進めた。スクリーンプリント金電極(SPGE)にマウスノロウイルス親和性アプタマーを固定化した後に、夾雑物の非特異的吸着を防ぐためにメルカプトヘキサノールにより電極のブロッキングを行い、アプタマー修飾電極を作製した。アプタマーが電極上に固定されていることを視覚的に確認するため、蛍光色素で修飾したアプタマーを金電極に固定し、共焦点レーザー顕微鏡により観察した。その結果、金電極上にのみ固定したアプタマーに由来する蛍光シグナルが観察された。 マウスノロウイルスを検出するためには、電気化学測定テクニックの一つである矩形波ボルタンメトリー(SWV)を使用した。アプタマー修飾した電極上に段階希釈したマウスノロウイルスを添加し、酸化還元体を含んだリン酸緩衝液中でSWV測定を行うことでセンサーのマウスノロウイルス検出能と電気化学反応のウイルス濃度依存性を調べた。その結果、ウイルス濃度に応じた電気化学反応(すなわちSWVピーク電流値の低下)が見られ、検量線には高い直線性が認められた。しかし、ウイルス以外の夾雑物による非特異反応も確認されたため、非特異反応の低減に向けてセンサー測定条件の検討を進めている。 また、マイクロ流体工学に基づく電極デバイスの作製にも取り組んだ。ガラス基板に電極形状をパターニングし、EB蒸着装置でクロムを、抵抗加熱蒸着装置で金を積層して微小金電極を作製した。加えて、素材としてPDMSを用いたマイクロ流路も作製した。 本年度に実施した研究では、ノロウイルスの迅速検出のための電気化学アプタセンサー技術の開発に必要となる基盤技術と測定条件を検討し、本技術の創出に向けた基礎的知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境中のノロウイルスの迅速検出のための電気化学アプタセンサーの開発に向け、測定条件の検討を重ねてきている。具体的には、電極材質、支持電解質や酸化還元体濃度など、最適測定条件を検討してきた。これまでの検討で、電極上へのアプタマーの固定化を確認した上で、ウイルスを添加して測定した際にはウイルス濃度に応じた電気化学反応が見られ、検量線にも高い直線性が認められている。 また、マイクロ流体工学を応用したセンサーデバイスの開発に向け、微小金電極やマイクロ流路の作製にも着手している。 以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではヒトノロウイルスのモデルとして培養が容易なマウスノロウイルスを実験に用いて研究を進めてきた。今後は、本技術を用いて実際にヒトノロウイルスを検出することを目指し、ヒトノロウイルス親和性アプタマーとウイルス様粒子(virus-like particles, VLPs)を使用して条件検討を実施する。 また、塩素やオゾンなどの消毒処理により不活化したウイルスがアプタマーにより捕捉されるかどうかを調べ、最終的にはアプタセンサーが感染性ウイルス粒子のみを検出可能であることを実験的に示す。
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Research Products
(3 results)