2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of probabilistic concentration analysis method for environmental pollutants by Bayesian statistics
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17H04945
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊本 英紀 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (80708082)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 確率論 / 流体工学 / シミュレーション工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、汚染物質濃度の離散的かつ低い空間解像度の計測データを出発点として、連続的かつ高い解像度の空間濃度分布を数値的に解析し、同時にその解析データの信頼性を診断する一連のシステム構築を目指している。当該年度においては、特に以下の課題に取り組んだ。①ベイズ推論を中核として、計算流体力学による随伴濃度解析と汚染物質濃度の計測を組み合わせ、汚染物質の発生位置とその強度を確率的に推定する基本モデルを構築した。また、そのモデルを数値的に評価する解析システムを構築した。②随伴濃度解析を時間平均型乱流モデル(Reynolds-averaged Navier-Stokes equations)で解析する際には、乱流シュミット数に代表されるようないくつかの経験的パラメータを与える必要があるが、それらのパラメータ入力値の不確かさが波及し最終的な解析誤差も増大してしまう。そこで、解析上必要となる経験的パラメータ等も未知量として同時に推定するように基本モデルを拡張した。また、既往の実験データを基に同モデルを利用したケーススタディを実施しその有効性を確認した。③今後の更なる解析モデルの拡張に対応するため、都市空間中における風速や汚染物質濃度の分布を検討する風洞実験を実施し、計測データの蓄積を行った。④汚染物質濃度の数値予測手法の精度向上を図るため、都市内気流を対象とした非定常型乱流モデル(Large-eddy simulation)による解析とその精度検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた基本モデルの構築は完了し、解析モデルやシステムの拡張にも着手している。また、要素技術としてのシミュレーション精度の向上や検証も進め、今後の検討に用いる実験データの取得も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは主に単一の点と見なせる発生源から放出される汚染物質の濃度を主な対象としてきた。今後は、発生源の形状や数に任意性がある場合においても解析可能なようにモデルを拡張していく。また、主に随伴濃度解析は乱流モデルを用いた予測が必要となるため、計算コストが大きくなる傾向にある。解析システムの精度を向上させるとともに計算効率を高める手法に関しても検討を行ってく。
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