2018 Fiscal Year Annual Research Report
微細なイガグリ構造を利用した酸化消光フリーのシリコン発光材料の開発
Project/Area Number |
17H04962
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
稲澤 晋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30466776)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シリコン / イガグリ形状 / エッチング / プロセス / 材料合成 / 熱収支 / 物質収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛還元反応で得られるシリコンマイクロ粒子を酸液(弗化水素酸と硝酸の混酸)で削ると、イガグリ状の発光粒子が得られる。本研究では、イガグリ形状の特異な粒子構造を利用して、長く明るく光るシリコン粒子の開発を目的としている。H30年度は、イガグリ形状の積極的な制御を試み、エッチング条件で三次元的なイガグリ構造がどのように変化するか、を中心に検討した。酸液とシリコン粒子とがよく混ざるように撹拌操作を行うと、エッチング速度が下がること、また酸液の上昇温度とシリコン粒子の重量減少割合に明確な相関があること、を明らかにした。前者は、エッチングメカニズムを理解する上で重要な結果である。また後者の成果で、エッチングの程度を定量的に客観的に判断できるようになった。エッチングプロセスでは、酸液組成、粒子重量、エッチング温度や時間など多様な条件を設定する必要がある。最適な条件を効率的に探索する上で、不可欠な情報が得られている。エッチング条件の検討に加え、効率的に材料を合成するために、そもそものシリコンマイクロ粒子の生成条件の検討も行った。この検討を行う中で、針状のシリコン生成では、気相反応からシリコン固体が生成する際の固化熱の影響が無視し得ないことを明らかにした。反応の物質収支だけではなく、固体生成に伴う熱収支も考慮に入れた材料合成が必要である。針状シリコンに比べてマイクロ粒子は生成条件の範囲が狭い傾向にある。気相反応での固体形成時の熱的な要因が影響している可能性が示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エッチングメカニズムの理解や、形状制御技術の確立それぞれで進展があった。また、粒子の合成条件の検討も進んでおり、おおむね順調な進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
エッチングメカニズムの理解を進め、再現よく所望のイガグリ形状を作り出す技術を確立する。また、H30年度の検討で、シリコンマイクロ粒子の直径に応じて、削れやすさに差があることを示唆する結果も得られている。酸液の組成や撹拌の有無だけではなく、原料粒子側の性質(直径など)とエッチングの相関も検討課題の柱に据える。粒子毎の発光特性との相関を明らかにする。
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