2017 Fiscal Year Annual Research Report
可視・赤外光を有効利用する金プラズモニック光触媒による高度物質変換反応
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17H04967
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田中 淳皓 近畿大学, 理工学部, 助教 (50748390)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラズモニック光触媒 / 金属ナノ粒子 / 太陽エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,Au粒子の粒径,金属酸化物上への接合状態を制御すること,また,異種金属(助触媒)を巧みに組み合わせることにより,光応答性制御による広範囲な可視光吸収の達成を目指す.交付申請書の「研究実施計画」には「Au粒子と金属酸化物との接合状態の設計を可能とする合成法の確立」を記載した.Au粒子の固定法はこれまでに研究者らが開発したコロイド光電着法を用いた.この方法を用いることで,13nmのAu粒子が固定化される.さらにこの固定化された試料を熱処理することで,接合状態の設計を行った. 【具体的内容】 コロイド光電着法で調製したAu担持酸化チタン(Au/TiO2)を700度で後焼成することで,TiO2上のAu粒子が半球状になることを見い出した.また,TiO2表面と接触しているAu粒子を半球状にすることで,650 nm以上の長波長光吸収することを明らかにし,これを利用した赤色LED光(中心波長:630 nm)によるAuプラズモニック光触媒反応を達成した.また,各種温度において調製した試料のアクションスペクトルを測定したところ,光吸収の変化にともないアクションスペクトルも変化することが明らかとなった. この成果として,Chemical Communicationsに掲載され,雑誌のフロントカバーに採用された. 【意義・重要性】 以上の結果より,簡便な熱処理を行うことでAu/TiO2の長波長応答化に成功し,調製温度,すなわちAu粒子とTiO2の接合状態を制御することで応答波長を長波長化することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に設定した目標「Au粒子と金属酸化物との接合状態の設計を可能とする合成法の確立」を実現し,成果をChemical Communications誌に発表した.また,Au粒子担持金属酸化物を各種作製し,電子注入挙動について重要な知見を取得し,成果を日本化学会年会にて発表した.以上の事実から,研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
Au粒子担持金属酸化物を用いた光触媒活性の向上には,Au粒子から金属酸化物への電子移動、可視光吸収能をさらに高め,高機能化する必要がある.また,Au粒子の粒径による光吸収能,光触媒活性の向上の検討も重要となる. このような観点から,平成30年度の研究ではAu粒子の粒径を制御したAu/TiO2を作製し,水の酸化反応への影響を検討する.また,アルケンのエポキシ化に対し,特殊な選択性を示すAu/TiO2の作製を行う.
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Research Products
(27 results)