2017 Fiscal Year Annual Research Report
Acceleration Mechanism of Xenon Ion in Electric Propulsion Thrusters
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17H04973
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
月崎 竜童 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70720697)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電気推進 / プラズマ診断 / レーザ誘起蛍光法 / カソード |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー誘起蛍光法の実験系をマイクロ波カソードへ適用する。 CW外部共振器レーザから出た光は複数に分岐され, 真空チャンバには光ファイバフィードスルーを通じて内部に導入される. 真空チャンバでは測定対象のカソードが設置されており, レーザ光をプルームに照射する. 以下の原理によって速度は求められる. ①プラズマ中の電子のエネルギー準位間に等しい波長のレーザをプラズマに入射することで, 電子を上準位に励起させる. ②上準位に励起された電子が, 違う波長の蛍光線を出し, 他の準位に落ちる. ③この蛍光線は, 粒子の速度に依存して波長がシフトする. (ドップラーシフト)放電管の蛍光線との波長シフトを求めることで粒子の速度を求めることができる. 研究の第一ステップとして、834.7 nmのレーザを用いて誘起させ, 541.9 nmの蛍光線を検出する. 既に申請者が若手研究(B)において、実績をあげており、励起準位であるものの誤差±10 m/s程度の精密なイオン速度関数が測定可能である。同時に予備実験として、翌年度取り組む、2光子レーザ誘起蛍光法の波長の選定を行う。先行研究では、複数の研究チームが基底状態の中性粒子の測定に成功しており、波長は224 nmから256 nmにまたがる。このなかで適切な波長を、選定する。選定には、角田宇宙センターに設置された色素レーザを借用し、Xe管を持ちこみ測定する。また基底状態のイオンは先行研究の前例がなく、ハイリスクハイリターンである。イオンの基底を2光子で励起するには、レーザが発信可能な220 nmを第1候補とし、色素をレーザと同時に購入する。
上記計画を実施し、現在レーザで測定系を構築し、検出を試みている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
信号検出には至っていないものの、SN比は大幅に改善し、検出可能に近づいていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の予備実験結果をもとに納品されたレーザを使い、2光子レーザ誘起蛍光法の実験系を構築する。波長が従来の赤外線領域から紫外線領域へ変更することから、各種ミラー、フォトマル、エタロンなどを変更する。 中性粒子の測定: 既に先行研究で複数実績があり、中性粒子の基底から励起された蛍光の検出は確実に行える。 イオンの測定: 波長220nmのイオンの基底の測定は中性粒子に比べ密度が著しく低く難しい. 検出が難しい場合の工夫: 既に申請者が実績をあげているロックインアンプや波長変調分光法による高感度化を実践する。それでも検出に至らない場合、イオンの波長210 nmや214 nmへの波長の切り替えを検討する。同時に測定対象となるプラズマ源も、マイクロ波カソードよりもプラズマ密度の高いホローカソードに変更を検討する。それでも検出に至らない場合は、基底イオンの測定は断念し、励起イオンに切り替える。励起イオンの測定は、デメリットとして1%程度にしか過ぎない励起準位の密度・速度関数と、99%近くをしめる基底のイオン密度・速度関数を関連付けるモデルが、非平衡プラズマにおいて信頼性が低いことである。その場合、基底状態の中性粒子密度は測定可能なので、電離による基底密度の減少から、イオン全体の情報を補完する。一方でメリットとしては、既存のCWレーザによる測定が可能であり、高速なスイッチング技術との併用で、時間分解能のある測定へ発展が可能であることがあげられる。カソードの損耗において、イオンの乱流現象を時間分解能をもって観測することで、損耗過程が明らかになることが期待される。時間分解能のあるLIF法は習得に時間がかかることが予想される。研究の進捗に合わせ方針を決定する。
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Research Products
(9 results)