2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a sonar system for small buried object under the sea bottom
Project/Area Number |
17H04974
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 勝紀 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (70633494)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 堆積物探査ソーナー / 堆積物音響 / 海洋音響工学 / 二枚貝 / 海底ケーブル / 埋没物 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎となるデータ収集が必要であったため、堆積層内の音波伝搬の粒径依存性を計測した。試験サンプルには、二枚貝が生息している砂泥と基礎試験用の模擬堆積物(ガラスビーズ)を用いた。実験結果から、堆積物内における音波の音速と減衰は粒径に強く依存し、速度分散は観測波形並びに音響画像に影響を及ぼすことが分かった。また減衰は、kd(波数と粒子の直径の積)が1以下から1以上に遷移する過程で、支配的な減衰が吸収減衰から散乱減衰に移行することが分かった。また、堆積層内における音波伝搬シミュレーターの開発に着手した。シミュレーションに用いる堆積物や二枚貝の3次元モデルを構築するために、それぞれのモデル構築を試みた。二枚貝の3次元モデルはSfM技術を応用して構築することが出来たが、堆積物については、粒径が200ミクロン以下になるとX線マイクロCTによる撮像が解像度の観点から困難であった。よって、粒子は人工的にモデルを作り出し、弾性FDTDシミュレーションによって堆積物内の音波伝搬の様子を可視化した。パソコンのメモリの都合上、2次元でシミュレーションを実施したが、粒径が小さくなると現状の環境ではメモリと処理速度の都合上、シミュレーションが困難であった。粒径が小さい場合のシミュレーションにはスーパーコンピュータなどの利用が望まれる。前述した設計手法を用いて、開発するラインフォーカスアレイソーナーの仕様を決定した。ソーナープローブには64chのコンポジット素子を用い、周波数は500kHzとした。また、設計したソーナープローブと専用の耐水ケーブルを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【項目1-1:堆積層内における音波伝搬特性の各種パラメータ依存性の測定】実海域における堆積層内の音波伝搬現象に関しては未だ不明な点も多く、今後の堆積物音響技術の基礎となるデータ収集が必要であったため、堆積層内の音波伝搬の粒径依存性を計測した。試験サンプルには、二枚貝が生息している砂泥と基礎試験用の模擬堆積物(ガラスビーズ)を用いた。実験結果から、堆積物内における音波の音速と減衰は粒径に強く依存し、速度分散は観測波形並びに音響画像に影響を及ぼすことが分かった。また減衰は、kd(波数と粒子の直径)が1以下から1以上に遷移する過程で、支配的な減衰が吸収減衰から散乱減衰に移行することが分かった。凡そ必要なデータは取得出来たと考えている。 【項目1-2:堆積層内における音波伝搬シミュレーターの開発】堆積層内における音波伝搬シミュレーターの開発に着手し、そのスキームは確立できた。ただし、メモリと計算速度の都合上、粒径が小さい場合、現状の環境では音波伝搬シミュレーションを実行することが困難な状況である。 【項目1-3:ラインフォーカスアレイソーナーの設計最適化】項目1-1の基礎実験結果及び項目1-2で開発した設計手法を用いて、開発するラインフォーカスアレイソーナーの仕様を決定した。ソーナープローブには64chのコンポジット素子を用い、周波数は500kHzとした。 【項目1-4:計測システムの開発】項目1-3で設計したソーナープローブと専用の耐水ケーブルを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施した基礎試験データを基に設計したシステムの開発を引き続き進める。また、平成30年度は、水槽模擬試験を実施し、得られたデータを基に、最適な信号処理技術を開発する。平成29年度の基礎試験の結果、堆積物内における大きな速度分散が画像品質に強く影響することが分かったため、この速度分散を補正するための新しい信号処理手法を試行する。 【項目1-4:計測システムの開発】 平成29年度の項目1-3で開発したソーナーとそれを駆動するためのパワーアンプ及び制御装置を開発する。先行研究から、特に注意を要するのはソーナーとパワーアンプのマッチング部だと思われるため、余裕をもったフィードバック期間を設け、確実に目標性能を到達できるように開発を進める。またこの時点で実使用時の形態を意識し、トータル的に無理のないシステム開発を心掛ける。 【項目2-1:水槽模擬試験】 大型実験水槽や実験用フィールドを利用して、開発したシステムの駆動試験及び性能評価試験を実施する。水槽は東京大学や静岡県水産技術研究所所有のものなどを用い、二枚貝や模擬ケーブルを堆積層内に設置して試験を実施する。ハードウェア上の課題が生じた際はここでフィードバックを行う。また水槽試験の後に、アサリが生息する水域などにおいて水域試験を実施する。 【項目2-2:微小な埋没物の探知処理技術開発】 フェーズ1で検討する各種データ処理技術を実装する。特に、重要技術要素となるアレイ信号処理や位置補正処理、減衰補正処理、データフュージョンによる3次元グラフィクス処理技術の開発を進める。申請者が先行研究や平成29年度の基礎試験の結果に基づいて開発した処理アルゴリズムを基礎とする予定である。
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Research Products
(14 results)