2017 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of fluid flow in 3D fracture networks by functional nano-particle tracers
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17H04976
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 杏奈 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (60796449)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子トレーサー / き裂ネットワーク / 3Dプリンタ / トポロジー解析 / 流動実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性ナノ粒子を用いたナノトレーサーは,き裂岩体内の流体流動を既存技術よりも高精度で推定する可能性があるが,その現象が従来の物質移動モデル(Fick 則に従った支配方程式)では記述できない。本研究は,ナノトレーサーを用いた新しいき裂間流体流動推定法を提案する。 [1]「マイクロモデルを用いたき裂媒体におけ るナノトレーサー移動現象の解明」これまでに計測したナノ粒子の粒径にばらつきがあったため、本年度は粒子表面の表面電荷を測り、粒径計測に及ぼす影響を調べ、pHとの関係を調べた。マイクロモデルを作成し、水とCO2を流す流動実験を行った。マイクロ流路内での流動現象を顕微鏡観察することができた。ただし、当該年度では粒子を注入する流動実験には至らなかった。 [2]「複雑数理モデルのナノトレーサー移動現象への適用」複雑な構造を定量的に評価できるパーシステントホモロジーを用いて、岩石の形状評価に取り組んだ。シンプルな形状を評価することによって、パーシステントホモロジーのパラメータとき裂の構造(幅、間隔、密度)との関係を見出した。これにより、不均質媒体の形状と複雑な流動現象との相関関係が得られる可能性を示した。 [3]「3Dプリントき裂ネットワークにおけるマクロスケールの異常拡散の解明」3Dプリンタによって、構造を制御した複数のサンプルを作成することができた。また、それらのサンプルは、CTスキャンによって内部構造を評価した。2次元のネットワークモデルも作成し、流動の見える化を行なった。 [4]異常拡散数理モデルを組み込んだネットワークモデルの開発[3]の実験結果と、[2]で検討している形状の定量評価と合わせて、複雑な構造と流れとの関係を定量化し、ネットワークモデルの完成を目指すが、[2]と[3]とをつなぎ合わせるに至らなかった。 .
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロ流路の作成、粒子の粒径計測はできたものの、マイクロ流路内の流動実験、粒子トレーサーの計測が非常に繊細なため、エラーが多く、粒子を用いた流動実験ならびに粒子の濃度計測がうまくできていない。 また、構造の定量化に用いようと思ったパーシステントホモロジーの物理的な意味を見出そうとしたため、予定よりもパーシステントホモロジーによる定量評価に時間がかかっている。 3Dプリンタで作成したサンプルの流動実験ならびに構造解析はそれぞれできたが、流動パラメータと構造パラメータとの関係を見出すに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ流路内の流動実験については、流路の深さをより深くし、水が流れやすい状況で実施するようにする。また、粒子の粒径計測は、業者の人に精度の良い測定方法を見出してもらったので、計測の仕方を変えて計測に取り組む。 3Dプリンタで作成したサンプルの流動実験ならびに構造解析については、データ取得数を増やす必要があるため、複数サンプルで実施する。3Dプリンタで作成したサンプルでもトレーサー粒子を用いた流動実験を行い、マイクロ流路の実験がうまくいかなかった時の打開策として、また、スケールの異なるものでの検証として利用する。
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