2017 Fiscal Year Annual Research Report
前シナプスの神経細胞保護機能における活性帯構造変化の重要性の検討
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17H04983
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉江 淳 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (50777000)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
神経変性の初期段階において、過興奮によってシナプスの異常が惹起されることが知られている。近年この過興奮状態に対する前シナプスの神経保護作用が注目されているが、その分子メカニズムは明らかになっていない。前シナプスには、神経伝達物質の放出場所を決定する「活性帯構造体」が存在する。私たちはこれまでにショウジョウバエ視細胞において、過興奮状態によってこの構造体を構成する分子の組成が変化することを発見し、これがシナプス伝達量を調整することで異なる環境へ適応するための生理的機能であることを報告してきた。これらの研究を基に、本研究では活性帯構造体の組成変化を時期・細胞特異的に誘導する系を構築し、活動依存的に引き起こされる前シナプスの活性帯構造体の組成変化が、神経保護作用にどのように寄与するかを明らかにする。まず、本研究の目的を達成するために、視神経軸索におけるシナプスの数や分布を半自動的に評価することができる定量システムを樹立した。本年度はこれを発展させ、シナプスにおける神経変性の基準となる「変性したシナプス前軸索の数」、「シナプス結合の数や強度」、「シナプスの数や構造の形態」を定量する方法を準備した。また、最近では、 シナプスの数が神経変性以前に減少していることを見出した。そして、活性体構造体タンパク質の一つであるBruchpilotの活性依存的に神経変性を抑制することがわかり、前シナプスと神経変性の関与を示す結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経変性の基準となる定量方法を樹立した。そして、シナプス結合の数が神経変性が起こる前に減少していることを見出しており、シナプス異常によって神経変性が惹起される可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
Bruchpilot以外の活性体構造タンパク質が神経変性に関与しているかを明らかにし、シナプス異常を人為的に誘導したり戻したりすることにより、神経変性のスピード変化を確かめ、シナプスの正常な働きが神経回路の健康を維持することを検証する。
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