2018 Fiscal Year Annual Research Report
前シナプスの神経細胞保護機能における活性帯構造変化の重要性の検討
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17H04983
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉江 淳 新潟大学, 研究推進機構, 研究准教授 (50777000)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
脳は五感を認識し、運動や学習、記憶、情動などの司令塔として多岐にわたる機能を発揮する。そのため神経細胞は、緻密な神経回路を発生期に形成した後、それを維持し続ける必要がある。神経回路の機能や構造が破綻すると、不可逆的な機能低下に陥り神経変性疾患や精神疾患へと繋がる。しかし、健常な神経細胞を維持するため機能する細胞間コミュニケーション機構やその破綻機序は十分解明されていない。これらを理解するため、私は神経回路中の情報伝達の基礎となるシナプスに焦点を当て、モデル生物ショウジョウバエを用いてこれまでに神経細胞間の情報伝達の基礎となるシナプス一つ一つを細胞特異的に可視化するマーカーを作製し、ショウジョウバエ視細胞において、環境の変化により起こる前シナプス構造変化を発見した。この一連の研究で開発したシナプス可視化ツールと、私が本研究で見出した視神経細胞の変性が可視化できる実験系を組み合わせることで、シナプスと軸索形態双方の観察が可能となり、可視化が難しい神経回路変性の変化を定量的に解析することができるようになった(Sugie et al., J. Vis. Exp., 2017)。この手法を用いることで、本研究では神経回路の機能維持に必要な細胞間コミュニケーションの基礎を司る活性体の構造変化が細胞を保護するメカニズムを現在解析している。これらシナプス研究について神経活動依存的なシナプス構造変化に関する総説を発表した(Sugie et al., Neural Dev., 2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性的な光刺激によってシナプス解体に引き続き神経変性が起こること、また分岐型古典的WNT経路が神経変性から細胞を保護する可能性を見出している。このWNT経路はシナプス構造の再編成に必要であり、シナプス構造の安定化が細胞保護機構であることが強く示唆される。
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Strategy for Future Research Activity |
シナプス異常が神経変性につながることをWNT経路やオートファジー経路等に着目して証明し、シナプスの正常な働きが神経回路の健康を維持することを明らかにする。
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Research Products
(2 results)