2018 Fiscal Year Annual Research Report
光イメージングを駆使した冬眠がん細ニッチのノンバイアス解析で拓く治療戦略
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17H04989
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
口丸 高弘 自治医科大学, 医学部, 講師 (10570591)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 転移 / 光標識技術 / 光イメージング / ニッチ / 単一細胞解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
一説によると、転移先臓器において、がん細胞は組織間質細胞によって構成される転移ニッチとよばれる微小環境を形成する。ニッチ構成細胞との細胞間相互作用が、がん細胞の増殖を制御している可能性が示唆されている。ニッチは増殖を促進するだけでなく、抑制・停止する可能性もある。増殖が停止して冬眠状態に入ったがん細胞は、抗がん剤治療を免れ、再発の原因となる。そこで本年度は前年度に引き続き、転移モデルマウスにおいて、がん細胞と相互作用するニッチ構成組織間質細胞を特定・単離する遺伝子コード型の蛍光タンパク質プローブの開発を目指した。前年度の検討から、がん細胞の不安定な細胞接着様式を克服する改良型GRASPの分子設計に取り組んだ。長鎖ポリペプチドリンカーを挿入したGRASPは、僅かではあるががん細胞-間質細胞間でのGFP再構成効率を改善したが、劇的な効果は確認できなかった。そこで、一方の分割GFP断片を分泌する分子設計を検討したところ、C末端GFP断片を分泌することで、がん細胞に近接する間質細胞の膜上で非常に高いGFPの再構成効率が得られることが明らかになった。この分泌型GRASPをコードするレポーター遺伝子を、マウスの乳がん細胞や、繊維芽細胞、血管内皮間質細胞、骨芽細胞など種々の間質細胞にレンチウィルスによって安定導入した。これらの細胞を共培養したところ、分泌型GRASPは非常に効率的かつ特異的に間質細胞をGFP標識することを、共焦点蛍光顕微観察やフローサイトメトリ解析から明らかになった。加えて、分泌型GRASPレポーター遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの作出に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん細胞と相互作用する間質細胞を効率的に蛍光標識するために、GRASPの改良が必要になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
分泌型GRASPレポーターを発現するトランスジェニックマウスの作出を続けると共に、アデノ随伴ウィルスによって、特定の臓器間質細胞に分泌型GRASPレポーターを導入する系を構築し、マウス生体組織でのGRASPの動作検証を前倒しで進める。
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