2017 Fiscal Year Annual Research Report
Chronological analysis of clonal architecture in myelodysplastic syndromes
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17H04990
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉里 哲一 京都大学, 医学研究科, 助教 (70786392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / ゲノム解析 / 二次性白血病 / 継時的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群は高齢者に多い疾患であり、今後高齢化社会の進行とともに日本人における発症率は上昇すると考えられる。骨髄異形成症候群は高頻度に二次性白血病に移行するが病型移行に関する分子遺伝学的知見は乏しい。本研究では、次世代シーケンサーを用いて、骨髄異形成症候群の病型移行や治療前後でのクローン構造の変化を評価し、臨床判断に有用な予後予測マーカーを同定することを目的としている。 骨髄性腫瘍の新規driver遺伝子であるARID2を大規模コホートで評価し、約1%の症例に変異またはコピー数異常が認められること、変異は初期段階で獲得されていることを明らかにした。またARID2変異/欠失と巨核球異形成との関連を明らかにした。この結果を論文として発表した(Sakai H et al. Leukemia 2018)。 また、健常人においてもクローン性造血が高頻度に認められることが知られているが、骨髄異形成症候群移行の分子マーカーに関する知見は乏しく、現在クローン性造血と骨髄異形成症候群のゲノム異常のスペクトラム違いを評価している。更に各変異と骨髄異形成症候群の表現型等の評価を実施している。 更に、現在、DNAメチル化阻害剤であるアザシチジン投与前後のクローン性造血の挙動・治療反応性を探索している。骨髄異形成症候群の唯一の根治的治療は、同種造血幹細胞移植であるが、非適応ではしばしばDNAメチル化阻害剤が使用される。TP53変異陽性例では、一時的ではあるがアザシチジンに対する治療反応性が良好なこと、継時的にクローンサイズが縮小する傾向があることを明らかにした。TP53変異は同種造血幹細胞移植も含め従来の治療では予後不良なことが知られているが、TP53変異クローンをアザシチジンで縮小させた後、同種造血幹細胞移植に持ち込むことで骨髄異形成症候群の予後を改善する可能性が示唆される。今後、症例を積み重ねていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、機能や頻度のほとんど分かっていなかった骨髄性腫瘍の新規driver遺伝子であるARID2を大規模コホートで評価し、393症例中6例にARID2遺伝子の変異を同定した。6変異中5変異は、frameshift変異で機能喪失型変異であることが示唆された。また同領域を含む12番染色体の欠失は、8例に同定された。変異または欠失陽性に随伴する変異を評価したところ、ヒストン修飾に関わる変異が14症例中6症例に同定された。更に継時的検体を用いてクローンの挙動を評価したところ、ARID2変異/欠失は早期に生じることを多いことを明らかになった。またARID2変異/欠失陽性例では巨核球異形成を全例に認めた。以上のように新規driver変異であるARID2変異のMDSの病態への関与の一端を明らかにした。この結果をLeukemiaに報告した(Sakai H et al. Leukemia 2018)。 また、近年、クローン性造血が健常人、特に高齢者において認められること、クローン性造血陽性症例において、骨髄性腫瘍発症の頻度が高いことが報告されているが、どのような症例がどのように骨髄性腫瘍に移行するかに関しては不明な点が多い。クローン性造血陽性との変異スペクトラムとの差異、骨髄異形成症候群から二次性白血病への進展に過程で生じるクローン構造の変化を評価し、現在論文投稿中である。 また、アザシチジン投与前後のクローン性造血の挙動・治療反応性を探索している。骨髄異形成症候群の唯一の根治的治療は、同種造血幹細胞移植であるが、非適応ではしばしばDNAメチル化阻害剤が使用される。TP53変異陽性例では、一時的ではあるがアザシチジンに対する治療反応性が良好なこと、継時的にクローンサイズが縮小する傾向があることを明らかにした。今後論文投稿に向け準備をしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、平成29年度に引き続き、検体の収集、シーケンスを実施する。継時的検体の解析症例数は約200症例500検体を目標とする。同定したクローン構造の変化を詳細な臨床データとともに解析し、クローン構造と病型の進展や治療反応性との関係を評価する。また予後への影響も併せて評価し、臨床判断に有用なエビデンスを構築する。 更に、継時的検体の解析で得られた知見のvalidation目的に継時的検体の得られる症例以外にも、非継時的検体のデータも解析する。当研究室で既にシーケンス済みの検体・新規にシーケンスする検体併せて、2000例を目標に解析する。 標的シーケンスでは少数のクローンしか解析することができず、標的シーケンスではクローンが同定できない症例も存在する。 そのため、一部の検体に関しては、より網羅的にクローン構造を解析するために、全エキソンシーケンス、更には全ゲノムシーケンスを実施する。我々の研究室では、変異のみならず、転座やtandem duplicationなどの構造異常を高感度に同定するパイプラインであるgenomon2を東京大学医科学研究所ヒトゲノムセンターとともに共同開発しており、全エキソンシーケンス・全ゲノムシーケンスデータを用いて変異・コピー数異常のみならず、構造異常のクローン構造も併せて評価する。得られた知見を学会発表や学術雑誌で公に発表し、広く社会・国民に発信する。
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