2018 Fiscal Year Annual Research Report
Examining larval dispersal and speciation of Indo-Pacific coral reef organisms through population genomic analysis
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17H04996
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
安田 仁奈 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 准教授 (00617251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 温暖化 / サンゴ礁生態系 / MIG-seq / 遺伝子流動 / 幼生分散 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オニヒトデとマンジュウヒトデについてインド洋・太平洋の海域においてゲノムDNAを抽出し、両者の遺伝構造を比較した。その結果、全体としてオニヒトデとマンジュウヒトデは非常に類似する遺伝構造を持っていることが分かり、氷河期に類似する種分化パターンを示したことがわかった。インド洋種と太平洋種が分岐した年代も焼く200万年前と共通しており、マンジュウヒトデの方がより分岐が若いことが分かった。これはより長い幼生分散期間が関係している可能性がある。さらに、インド洋と太平洋で遺伝構造の強さを比較したところ、インド洋側では地理的距離が太平洋側よりも短いにも関わらず大きな遺伝構造を持っており、太平洋側の方が遺伝構造が小さいことが両方の種において明らかになった。このことから、オニヒトデ、マンジュウヒトデともに幼生分散によるコネクティビティは海流の影響が大きく、インド洋よりも太平洋の方が海流による分散がおこりにくいことが分かった。これらの事実から、強い流れにさらされやすい太平洋側の方が幼生分散による2次的大量発生などの伝播が起きやすく注意が必要であることがわかった。 一方アオサンゴでは、西オーストラリアで2種、黒潮系でさらに2種のアオサンゴので印系統が見つかり、西オーストラリアの種には、新たにHeliopora hiberianaの名を付けた。黒潮系では産卵期の異時性により生殖隔離のおきている2種について産卵期の推定を行うと同時に、MIG-seqにより従来の遺伝子マーカーでは見えなかった遺伝構造の違いを検出することに成功した。また、黒潮海域において、近年の温暖化により北上しているサンゴ類の遺伝構造を明らかにし、温帯域がサンゴの避難所として働く可能性を示した。今後さらにインド洋・太平洋のサンプルを加え、異所的種分化についての知見を深める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象種の生物について、順調にMTA,MOUなどの締結を行い、遺伝子サンプルを入手し、遺伝解析を進められている。そして実際に、MIG-seq法を用いた集団ゲノム解析により、対象種それぞれでこれまでに見えていなかった遺伝構造を次々と明らかにすることに成功している。特に、アオサンゴにおいては西オーストラリア、黒潮海域ともに、種分化の原因となっていると考えられる生殖時期の違いを生殖腺データなど、遺伝子以外のアプローチにより明らかにすることに成功しており、生殖隔離を裏付けるデータの取得にも成功している。サンゴ関係についてはScientidic Reportsに2報論文を掲載することができるなど、論文化についても徐々に進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、シンガポール、モルジブ、GBRなどのサンプルをさらに追加し、当初の目的であるインド太平洋広域のサンプリングを達成する予定である。現在採集許可・輸出許可などの手続きを行っているところである。また古いサンプルについても適宜利用して解析に役立てる予定である。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] The potential role of temperate Japanese regions as refugia for the coral Acropora hyacinthus in the face of climate change.2019
Author(s)
Nakabayashi A., Yamakita T., Nakamura T., Aizawa H., Kitano Y. F., Iguchi A., Yamano H., Nagai S., Agostini S., Teshima K. M., Yasuda N.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 9
Pages: 1892
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Population genomic analysis of blue coral the living fossil species in the Indo and Pacific Ocean[2019
Author(s)
Hiroki Taninaka, Zoe Richards, Taisei Kikuchi, Hideaki Yuasa, Yuki Hongo, Sen-Lin Tang, Naohisa Wada, Akira Iguchi, Soyoka Muko, Yoshihisa Suyama, Nina Yasuda
Organizer
第 66 回日 本生態学会大会
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[Presentation] 温暖化で北上・分布している日本の温帯サンゴ域は造礁サンゴの避難所となりえるのか?2018
Author(s)
安田仁奈, 志村晶史, 中林朗, 山北剛久, 中村隆史, 相澤浩明, 北野裕子, 井口亮, 山野博哉, 長井敏, Sylvain Agostini, 手島康介
Organizer
DNA多型学会大会
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[Presentation] オニヒトデから見つかった謎の共在菌について2018
Author(s)
和田直久,湯淺英知, 梶谷嶺, 後藤恭弘, 小椋義俊, 吉村大, 豊田敦, Sen-Lin TANG, 東村幸浩, Hugh SWEATMAN, Zac FORSMAN, Omri BRONSTEIN, Gal EYAL, Nalinee THONGTHAM, 林哲也, 伊藤武彦, 安田仁奈
Organizer
第21回日本サンゴ礁学会
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