2017 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTの二重エネルギー化による木質系建築材料の性能の三次元計測
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17H05032
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 孝 静岡大学, 農学部, 助教 (40612700)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二重エネルギーX線吸収法 / X線デンシトメトリ / X線CT / 非破壊測定 / 木材接着剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
大型のX線装置を用いて直径100~150ミリメートル程度の比較的大きな断面積を持った生材木材およびアクリルの直方体の断層像を高管電圧(4MeV)および低管電圧(40-50 keV)で撮影したところ、アクリル直方体では高管電圧でほぼ一様なプロファイルが得られた一方、低管電圧では直方体の内部ほど低密度に撮像された。この原因の一つがビームハードニングと考えられ、比較的大きな断面積を持った試験体のX線CT断層像を撮影するためには低管電圧ほどビームハードニングをおさえるための方策が重要であることが分かった。
一辺10ミリメートルの気乾木材および各種プラスチック材料を組み合わせて直径100~150ミリメートル程度の比較的大きな断面積かつ一様でない密度分布を持った試験体を作成し、これを2種のX線CT装置に供し、いくつかの管電圧といくつかの各種金属フィルタを用いてCT断層像の輝度値分布と密度分布の関係を比較した。試料条件によっては特定の厚さをもった特定の金属フィルタの使用が密度分析結果の妥当性を向上させることがあることが明らかになった。今後はこれらの方法の妥当性をより詳細に検討する必要がある。
木質系建築材料中の接着剤の三次元濃度分布の計測への応用可能性について予備的に検討した。合板せん断試験片および集成材ブロックせん断試験片をX線CT装置に供し、木材の道管や裏割れ等の空隙に浸透して固化した接着剤を、造影剤の添加や重元素による化学修飾をすることなしに可視化できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
製材の密度分布と含水率分布の同時計測については当初の予定に比べて進捗が悪い。かわりに木質材料中の接着剤の三次元濃度計測について予備的に着手した。研究全体では総じておおむね順調な進展状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の一部は実大サイズの木質材料のあらゆる性能の計測方法の確立を目指した研究であり、断層像上の輝度値から性能を導出するための信頼できるデータを揃えることに当初の見込み以上に手間取り、データ処理するのについても当初の見込み以上に膨大な時間がかかったため、データ収集およびデータ処理を引き続き継続する。今後は人手を増やしてこれに対応することを考えている。
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