2018 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTの二重エネルギー化による木質系建築材料の性能の三次元計測
Project/Area Number |
17H05032
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 孝 静岡大学, 農学部, 助教 (40612700)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二重エネルギーX線吸収法 / X線デンシトメトリ / X線CT / 非破壊測定 / 木材接着剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
木質材料中の接着剤の三次元濃度分布の計測への応用に適した装置を選定するため、同一の合板せん断試験片(幅25ミリメートル)を5種のX線装置に供した。撮影条件についても前年度より詳細に検討した。装置にかかわらず広視野かつ高空間解像度の両立は難しく、視野直径30ミリメートル程度を確保した場合には、広葉樹道管や合板裏割れに浸透して固化した接着剤は観察可能なものの、針葉樹仮道管に浸透して固化した接着剤の観察については確認が極めて難しいことが分かった。ただし視野を10ミリメートル程度にまで狭めることで仮道管の観察も可能になることを示唆するような結果が得られた。ただし解像度には問題がなくても接着剤の種類によってはCT断層像上で木材と接着剤の区別が容易ではない場合が多々あった。今後はそのような場合でも二重エネルギー化により造影剤の添加や重元素による化学修飾をすることなしに木材組織に浸透して固化した接着剤を可視化できるようにすることを目指す。
合板単板中の含浸フェノール樹脂分布測定についても予備検討を実施した。木材と含浸フェノールでは元素組成が似ており、二重エネルギー化による木材と含侵フェノールの区別の容易化は簡単ではないかもしれないことが示唆された。
長さ約1メートルの実大材に近い木材をX線CT装置に供し、密度測定に対する節の影響および長さ方向の輝度値ばらつきを検討した。装置によっては長さ方向のばらつきが極めて少なく、また節の影響も見られなかった。木材および木質材料の三次元性能測定に関する一連の技術が実大材にも応用可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
木材接着面について広視野かつ高空間解像度のX線CT断層像を得ることに当初の想定以上に手間取り、肝心の二重エネルギー吸収法の適用のための検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
断層像のデータ量が多く輝度値と各種性能の関係の解析に手間取っているため、人手を増やして解析を早めることを考えたい。
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