2018 Fiscal Year Annual Research Report
Rural Women's Empowerment and Human Security
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17H05036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高篠 仁奈 東北大学, 農学研究科, 准教授 (80507145)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジェンダー / 農村社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農村における女性の地位と権利意識を決定づける社会・経済的要因を明らかにし、ヒューマンセキュリティ(人間の安全保障)の観点から、女性のエンパワメント(能力・地位の向上)に資する知見を探る。その際、家計調査に加え、現地NGOおよび地方政府と連携しながら実践的な研究を行う。収集したデータに基づく実証分析を行い、女性のエンパワメントに資する知見を得ることを目指す。
平成30年度は、平成29年度から投稿中であった、2本の論文(エンパワメントの実態に関する調査結果と、NGOや政府と村落自治組織の役割に関する調査結果)を修正・再投稿し、学術誌に研究成果が掲載された。また、これまで収集したインドのMeghalaya州の家計データを分析し、女性の政治参加に関する分析結果をとりまとめ共同研究者とともに論文を執筆した。この成果は、インドネシアで開催された国際学会にて報告を行い、現在、国際誌に投稿中である。これと並行し、平成29年度に収集した調査データを分析し論文を作成した。母系社会であるメガラヤ州カシ族301件のデータを、父系社会であるアッサム州カルビ族272件のデータを収集している。両地域は、社会経済条件が似通った条件にあるが、社会制度・政治制度が異なるため、制度の差異が女性のエンパワメントに与える影響を比較することが可能であり、研究成果は現在投稿中である。
また、平成30年度の夏季にはバングラデシュのクルナ州において、女性の衛生条件に関する調査を行った。このデータは現在とりまとめを行っており、来年度中に学術誌への投稿を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドおよびバングラデシュの共同研究者とともに調査研究を順調に実施している。調査研究を通して研究課題に修正を加えながら、調査地の選定を行っているが、必要な変更であり成果報告も滞りなく行っている。また、本研究を通してインドのコルカタ大学の教員らと交流が進み、新たな教育研究の連携について調整を行うなど、研究プロジェクトから発展したネットワーク形成も進んでいる。以上の理由より、調査研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年には、インド農村とバングラデシュでの調査結果に関する分析を継続する。インド農村での調査研究については、母系社会であるカシ族(Meghalaya州)と父系社会であるカルビ族(Assam州)との文化的な差異が、女性のエンパワメントに与える影響について分析を行う。この成果については、共同研究者が2019年6月にマレーシアで行われる国際学会にて成果を報告する予定であり、国際誌への投稿を行う。また、平成30年度にバングラデシュのクルナ州において行った調査結果については、必要に応じて補足調査を実施し、女性の公衆衛生に関する知識と行動について分析する。この成果についても、国内外の学会で報告し学術誌への投稿を目指す。
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