2019 Fiscal Year Annual Research Report
Rural Women's Empowerment and Human Security
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17H05036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高篠 仁奈 東北大学, 農学研究科, 准教授 (80507145)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農業経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農村における女性の地位と権利意識を決定づける社会・経済的要因を明らかにし、ヒューマンセキュリティ(人間の安全保障)の観点から、女性のエンパワメント(能力・地位の向上)に資する知見を探る。その際、家計調査に加え、現地NGOおよび地方政府と連携しながら実践的な研究を行う。収集したデータに基づく実証分析を行い、女性のエンパワメントに資する知見を得ることを目指す。 令和元年度は、これまで収集したインドのメガラヤ州およびアッサム州の家計データを分析し、結果をとりまとめ共同研究者とともに論文を執筆した。この成果の一部は、6月にマレーシアで開催された国際学会にて共同研究者が報告を行った。この学会では中国の農村における貧困問題とジェンダーに関する報告も行った。これと並行し、平成30年度の夏季にバングラデシュのクルナ州において収集した、女性の衛生条件に関する調査結果のとりまとめを行った。この成果は11月に国際学会にて報告された。学会報告で得られたコメントを踏まえ、来年度中に学術誌への投稿を目指す。秋からロヒンギャ問題に関する新たな研究テーマについて文献調査を開始し、難民キャンプにおけるジェンダーに基づく暴力に関するレビュー論文を執筆した。令和2年3月には、国内学会の開催にあわせてインドの共同研究者を招へいし、これまでの研究成果を共有しさらなる連携関係を強化するための研究集会を実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響により中止となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も引き続きインドおよびバングラデシュの共同研究者とともに調査研究を順調に実施している。研究を進めながら重要なテーマも取り入れるなど、必要に応じた変更は行っているが調査研究は大きな問題もなく進んでおり成果報告も滞りない。2019年度末に、インドの大学の研究者を招いてセミナーの開催を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で中止となった。この点についても、2020年度以降、別の機会での交流を検討しており、研究課題の進捗およびネットワーク形成に支障は生じていない。以上の理由より、調査研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
インド農村での調査研究については、これまで分析を行ってきた母系社会であるカシ族と父系社会であるカルビ族との文化的な差異が女性のエンパワメントに与える影響や、バングラデシュの女性の公衆衛生問題に関する分析など、投稿準備中の論文について引き続き加筆・修正を進め、年度内の出版を目指す。新たに開始したバングラデシュにおける難民女性のエンパワメントについては、国内学会での報告と、夏季の現地調査実施を予定していたが、新型コロナウィルスの情勢による渡航制限を確認しながら、状況に応じて2次データの活用や現地研究者への調査委託など、調査方法の変更など検討しながら研究を進める。また、状況が許せば、2019年度に中止となったセミナーについて、国外の共同研究者を招いた研究報告会を開催し、今後の連携強化につなげる。
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