2017 Fiscal Year Annual Research Report
都市の食遷移と食料安全保障・環境持続可能性との関連について:アフリカの事例
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17H05037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
Gasparatos Alex 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 准教授 (20726369)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食遷移 / 都市 / 食料安全保障 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の活動は、都市化が進むアフリカのナイロビ(ケニア)、ワ(ガーナ)に加え、東京でのデータ収集と文献レビュー、今後の研究手法の作成と予備調査を含む準備に充てられた。アフリカにおいては、料理用コンロの使用による食習慣の変化を理解するため、ケニアのケースを取り上げ、広範な文献レビューを行った。この文献レビューを基に2つの論文を執筆し、2018年5月頃に学術誌へ投稿する予定である。食料の生産と消費のデータ収集にあたっては、国連食料農業機関の統計データベース(FAOSTAT)を利用し、世界における食遷移の特徴を把握するため分析を始めた。また社会経済的データセットは、世界銀行やその他の国際機関のウェブサイトから収集した。
予備調査では(a)都市の食生活の変化のタイプの検証と、(b)料理用コンロ・薪炭燃料の使用と、食事のパターンと食事の変化との関連性を引き出すという2種類の調査を行った。(a)に関しては、都市部の食生活の変化を検証するため、2つの都市での世帯調査を行った。一つは、東京都を含む近郊の県から12都市を選び、無作為に選んだ世帯からの郵送によるアンケート調査を行った。アンケートでは、食の好みの変化だけでなく、人と自然環境に関する質問も含まれ、約300世帯からの回答が得られた。二つ目の調査はガーナのワ市で約780の世帯を対象に対面による予備調査をおこなった。(b)に関しては、ナイロビ市近郊にあるムランガ(Muranga)とキアンブ(Kiambu)地域で約2か月にわたり現地調査を行い、約600世帯から回答を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書にあるように、2017年度の主な活動は文献レビューと、異なる都市のデータ収集を行うため、国ごとのデータ収集方法の作成であった。これらの業務は予定通り実施された。最も適したサンプリング手法を見極め、食生活の変化を引きだすための質問を作成するため、3つの都市(ナイロビ、ワ、東京)において予備調査を行った。
またケニアで文献レビューを行い、2編の論文を執筆した。論文は2018年5月頃に学術誌へ投稿の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の主な活動は(a)FAOの統計データベースを利用し、調査対象国の国ごとの食生活の変化の分析を終えること、(b)アクラ、ナイロビ、リロングウェで全面的なフィールド調査を行うことである。
その後、2019年度は、ヨハネスブルクでデータ収集を行うが、必要に応じてその他の都市での補助的データ収集を行う。データ収集の手法は基本的には2017年度で使用した方法を踏襲するが、必要に応じて対象となる地域の状況に適合するように修正・更新する。
収集されたデータは、食生活の変化が及ぼす環境への影響を測定するための最初のステップとして使用し、アフリカの異なる都市における異なる食の変化や食料の流れを検証する(2018年度~2019年度)。最終年度には、因果関係のマッピングやシステム・ダイナミックスを使用したデータ統合に焦点を置いて研究活動を行う。
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