2017 Fiscal Year Annual Research Report
卵管自動能を制御するペースメーカーとその機能発現機構の解明
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17H05041
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 ゆき 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20645345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵管 / 平滑筋 / 収縮 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
卵管収縮を制御するペースメーカー細胞の同定を目的に、細胞膜電位の制御に関与するイオンチャネル、並びに脱分極の伝達様式を検討した。さらに、平滑筋培養細胞を用いたペースメーカー細胞の探索手法の確立を試みた。 1) ウシ卵管峡部組織を用いて収縮試験を行い、収縮に関与すると考えられる電位依存性 Ca2+ チャネル (VDCC), 小胞体からの Ca2+ 放出レセプター, カリウムチャネルについて各阻害剤が自発収縮に与える影響を検討した。2) 収縮試験によってギャップジャンクション阻害剤が卵管自発収縮の収縮回数および振幅に与える影響を調べ、刺激伝達様式について検討した。3) ウシ卵管峡部の平滑筋細胞培養法およびライブセルイメージングによるCa2+ オシレーションの観察条件を検討した。 1) VDCC 阻害剤および 小胞体カルシウム放出レセプター阻害剤の添加により、卵管組織の収縮は完全に停止した。これらの結果から、細胞外から Ca2+ を供給するVDCCおよび小胞体から Ca2+ を放出するレセプターが卵管自発収縮に必須であることが示唆された。カリウムチャネル阻害剤の添加により、収縮回数および振幅が影響を受けことから、カリウムチャネルがペースメーカーおよび平滑筋細胞の再分極および過分極に関与することが示唆された。2)ギャップジャンクション阻害剤により収縮回数および振幅が減少したことから、ギャップジャンクションが組織内で刺激を伝達することが示唆された。3) 培養平滑筋細胞の密度がコンフルエントのときのみ Ca2+ オシレーションが観察されたことから、Ca2+ オシレーションの発生には、ある程度の細胞間接着が必要であると考えられた。 Image J および交互交換関数を用いて各平滑筋細胞の輝度の変化や同期性を評価することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養平滑筋・ペースメーカー細胞のカルシウムオシレーションが非常に活発で細胞ごとに様々なパターンが観察されたため、カルシウムオシレーションの有無だけではペースメーカー細胞の同定が困難であることが明らかとなった。現在別の観点からペースメーカーの道程を試みているため、次年度は本実験をさらに加速化する。
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Strategy for Future Research Activity |
まだペースメーカー細胞の同定に至っていないため、まずはカルシウムオシレーションのパターンを手掛かりにして遺伝子発現の違いを細胞ごとに検討し、遺伝子発現を明らかにすることでペースメーカー細胞の特性を明らかにする。同時に培養細胞への遺伝子導入条件を早急に確定し、ぺースメーカーが活動するために必要なイオンチャネルを遺伝子ノックアウトもしくはノックダウンを用いて決定する。
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Research Products
(2 results)