2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of molecular mechanisms of chemotherapy resistance based on interactions between tumor cells and tumor microenvironment
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17H05043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富安 博隆 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70776111)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソソーム / 化学療法耐性 / miRNA / 腫瘍微小環境 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は犬のリンパ系腫瘍に関して、細胞外小胞の一つであるエクソソームを介した腫瘍細胞と免疫細胞の相互作用という観点からその病態を解析し、特に化学療法耐性獲得に関連する分子機構の解明を目指してきた。 昨年度までの研究から、抗がん剤感受性の腫瘍細胞株と耐性の腫瘍細胞株の間でCD82タンパクのエクソソーム中含有量が異なっていることが明らかとなった。そこでCD82の発現量を低下させたノックダウン株を作成し遺伝子発現プロファイルにおける変化を検討した。その結果、CD82の発現量を低下させることで、特に細胞内シグナル伝達経路の一つであるSmad経路に関わる遺伝子群の発現が活性化することが示された。また、ケモカイン受容体の一つであるCCR2の発現が上昇することも見出した。これらの結果はCD82がCCR2の発現を抑制することで、免疫細胞などから分泌されるCCL2およびその腫瘍細胞側の受容体であるCCR2を介したリンパ腫細胞の増殖や走化性を抑制する可能性を示唆している。 次に、腫瘍細胞由来のエクソソームを末梢血由来単球および細胞傷害性CD8+T細胞にそれぞれ添加することで起こる遺伝子発現プロファイルの変化を探索した。その結果、まず単球においては腫瘍細胞由来エクソソームを添加することでNF-κB経路およびTNFαシグナリング経路がそれぞれ活性化し、特にIL-1β、IL-6、IL-10、TNF-αといった炎症性サイトカインの発現が上昇することが示された。次にCD8+T細胞においては、腫瘍細胞由来エクソソームを添加することで単球同様に種々の炎症性サイトカインの発現量に変化が起こるだけでなく、CD8+T細胞の生存率が低下すること、さらにその一部はアポトーシス誘導によるものであることが示された。 このようにエクソソームを介した腫瘍細胞と免疫細胞の分子生物学的相互作用を明らかにする成果を挙げることができた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)