2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation mechanisms of selective chlorophagy
Project/Area Number |
17H05050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉 正範 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80714956)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 葉緑体 / クロロファジー / オートファジー / 植物 / 光障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は以下2項目に関わる解析を行い以下のような進展が得られた。 【1】クロロファジー誘導要因の逆遺伝学的解析:葉緑体のどの部位の障害がクロロファジー誘導要因となるかを調べるため、葉緑体の各部位の防御に関わる遺伝子の各種変異体を用いて、強光障害後の異常形態葉緑体とクロロファジー活性を評価した。その結果、光化学系Ⅱがより重篤な障害を受けるとクロロファジーが活性化することが示された。一方、同程度の光化学系Ⅱの障害時でも、包膜の修復に関わる遺伝子の機能増強株では異常形態葉緑体とクロロファジーが減少し、機能低下株ではどちらも増加した。また、異常形態葉緑体では包膜を介した膜ポテンシャルに異常が生じていることも明らかとなった。以上の結果から、光化学系の障害が何らかの形で包膜に伝播し、それに伴い包膜を介した膜ポテンシャルの異常が生じることがクロロファジーの誘導要因となっていることが示唆された。関連して、包膜上のタンパク質輸送複合体の変異株ではクロロファジーが超活性化することを見出した。 【2】障害葉緑体を標識するレセプター因子の同定:未知のクロロファジーレセプターの単離を目指し、アルキル化剤EMSで遺伝子変異を誘発した野生型バックグラウンドの系統からクロロファジー特異的抑制株を5系統単離し、全ゲノムリシーケンスによる原因遺伝子絞り込み用のサンプル調整を終えた。さらに項目【1】で見出したクロロファジー超活性化変異株をEMS処理し、そこからクロロファジー特異的抑制体の候補株をさらに単離した。また、ユビキチン化の関与を調査し、強光処理した植物体の葉緑体ではユビキチン化が一定程度亢進されることを見出した。しかしながら、既知の葉緑体ユビキチン化酵素の変異株ではクロロファジーの抑制は見られなかったことから、これらのユビキチン化酵素はクロロファジーの誘導に必須ではないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度に予定していた解析はほぼ遂行することができた。項目2の全ゲノムリシーケンスはH29年度中に終える計画であり、実際にそこまでは至らなかったが、既にサンプルは調整済みのためすぐに解析に供することができる段階までは到達した。一方で、予定していた以上に解析が進んだ点として、項目1では「包膜を介した膜ポテンシャルの異常がクロロファジー誘導要因となること」、項目2では「既知の葉緑体ユビキチン化がオートファジーとは独立にタンパク質分解に寄与すること」を示す十分な証拠を既に得ることができた。よって研究計画全体としては、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は概ね順調に進展しており、当初の計画に沿って引き続き推進していく。若干遅れが見られる部分(変異株の原因遺伝子同定)については優先して解析を行い、研究期間内に、クロロファジーに必要な未知の因子の同定を達成する。
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Research Products
(21 results)